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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第52章 大晦日の出会い


「っは、っはぁ……」

頭が痺れる。
もう、自分の身体がどこにあるのかも分からない。

「あ、みわ」

「ん、なぁに……」

「あけましておめでとう」

時刻はすでに24時を過ぎていた。

「あ……あけまして、おめでとう。カウントダウンとかしなかったね」

「みわに夢中になってたら」

目を合わせてくすくすと笑い、優しく唇を合わせるだけのキスをした。

私も涼太に夢中だった。

「みわ、これ」

手に小さな箱を渡される。
白くて、箱の中央には王冠のマークとメーカー名がピンクの箔押しになっている。

「?」

「オレからのクリスマスプレゼント。遅くなってごめん」

「え……!」

プレゼント。
涼太からの、プレゼント……!

「うれしい……開けていい?」

「うん。喜んで貰えるといいんスけど」

箱を開けると、箱の真ん中の切れ目に輪っかが刺さっている。

これは、もしかして。

恐る恐る人差し指と親指を使ってつまむと、指輪が姿を現した。

「……ゆび、わ」

細い輪に石がふたつ、ついている。
シンプルだけど、曲線が美しい指輪だ。

「……あー……やっぱちょっと重いっスかね……みわに似合うかと思ったんスけど」

「……いいの、こんな」

「ゴメンネ、安物で。箱の後ろにチェーンが入ってるから、普段ネックレスにもできるんス」

土台部分を開けると、細いシルバーのチェーンが出てきた。

いつでも、身につけられるように。

「……」

「みわ、いつもありがとう」

「…………」

目の前がぼやけて、頭がジンと熱くなる。

「……みわ、泣かないで」

「だっ、だってこんなの、わたし、わたしあんなものだったし、あの」

「あんな物なんて言わないでよ。めちゃめちゃ嬉しかったっスよ?」

まるで子どもをあやすかのように頭を撫でられると嗚咽が漏れた。

「……ここの指用なんスけど」

そう言って涼太が触れたのは…左手の薬指だった。

「それって」

「いつか、本物買うから。……それまで待ってて欲しい」

「……はい……」

なんて贅沢。

初めての、大切なひとと過ごす大晦日は
最高の1日になった。







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