第52章 大晦日の出会い
「なっ、何して……!」
いつも余裕の涼太が珍しく慌ててる。
舌で上唇から順になぞっていく。
彼女の痕を舐め取るように。
「……っ、みわっ」
私のだ。
これは全部、私だけのもの。
「……消毒だよ」
ちゅっちゅと表面に吸い付いてから、舌を入れてみようと試みる。
戸惑った様子の涼太だったけど、すぐに口を開いて迎え入れてくれた。
涼太の腕も、抱きしめるように腰と頭に回される。
「……ん、りょうた……」
涼太とのキスが好き。
「……舌は入れられてねぇっスよ……」
「知ってる……私がしたいから、しただけ」
「ごめん、みわ」
目を伏せて、さっきからずっと申し訳なさそうにしてる。
……私も夏に先輩に無理矢理された事があるから、分かる。
今彼が、どんな気持ちでいるのかが。
……
涼太の頬を両手で挟むようにしてペチッと叩いた。
「これで、おしまい。ね?」
「……みわ、オレみわの事すげぇ好きなんスけど」
「偶然だね、私もだよ」
再び濡れた唇が重なる。
あったかい。
触れたところから溶けていくみたいだ。
抱きしめていたら、このまま同化しないかな。
「……みわ、寒い」
「ん……お風呂、沸かす?」
「ううん……みわがあっためて」
ぐっと腰に回した腕に力が入った。
部屋まで行くのももどかしく、廊下にはコートやセーター、スカートやパンツなど点々と脱ぎ散らかされている。
涼太の部屋に入った時にはふたりとも下着しか身に付けておらず、すぐに肌を貪り合うように重なった。
部屋にはふたりの荒い息遣いと喘ぐ声、ベッドのスプリングが軋む音が響く。
「っあ……あ……ぁ」
もう何度目かの絶頂に、嗄れ気味だった声は更にひどくなっていた。
まともに発声できていない。
「……みわ、最高に気持ちいい」
貫かれている感触が身体の自由を奪う。
この快感を表現する方法が見つからない。
「あ……ん、も……だめ」
「……ちょっと休憩する?」
あきが対面座位って言っていた体位でシていたけど、涼太はそう言って繋がったまま身体を横たえた。