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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第52章 大晦日の出会い


お蕎麦は、歯ごたえがあって甘みもあり、とても美味しい。
揚げたての天ぷらがまた絶妙でどんどん無言で食べ進めてしまう。

しかもボリューム満点で、海老天の大きさに思わず目を瞠ってしまった。

「……全く会話がないっスね」

「そうだね、夢中になっちゃった」

あんなに外は寒かったのに、もう今は軽く汗ばんでいる。
汗が冷えて風邪を引かないようにしなくちゃ。

ふと気付くと、緑間さんと高尾さんが席を立ってお会計をしている。

お会計が終わると、こちらに向かってきた。

「黄瀬」

「どーもー!」

無表情な緑間さんとは対象的にニコニコと手を振ってくる高尾さん。

「緑間っちに高尾クン、偶然っスね」

「こんばんは」

私も軽くご挨拶。

「お、マネージャーの神崎サンじゃん。海常って大晦日まで練習あんの?」

「いやいや、流石に休みっスよ」

「だよなー! マネージャーといるから練習帰りかなんかかと思ってさ」

「オレたち付き合ってるんスよ」

「へー、黄瀬クンって特定の彼女作らなそうなのに」

「ひでぇ、なんスかそれ」

あの、美形長身3人組がそこで話していると物凄く目立つのですが……!

「高尾、行くぞ。いつまでも油を売ってる暇はないのだよ」

「はいはい、分かったよ真ちゃん。そんじゃまたね、おふたりさん」

「次は負けねぇっスよ!」

「黄瀬」

「なんスか? 緑間っち」

「今日のおは朝占い、ふたご座は最下位だ。過去にとらわれてトラブルになる。ラッキーアイテムはヘビ革なのだよ」

「へ、ヘビ革……サンキュー緑間っち。良いお年を!」

ふたりは店中の視線を浴びて出て行った。

「もー、なんスかあのヒトはー」

「……チャリアカーでここまで来たのかな……」

過去……
トラブル……

Sariさんの事を思い出した。

もしかして、Sariさんって涼太の事、好きだったのかな……。

あんな綺麗なひと、勝ち目ないよ……。

「なんかあーやって聞くと不吉っスね……ヘビ革のもんなんて持ってねぇスわ」

「今日もあと数時間なのにね……」

うん、なんだか、不吉な予感。
ちょっと、いやだな……。





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