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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第52章 大晦日の出会い


「あ、高尾クンか」

「そうみたいだね。仲良しだよね、あのふたり」

自分を変えてくれるひとがいるというのは素晴らしいことだ。

私も、涼太には沢山助けられた。
変えてもらった。

私にも、涼太を変えられるくらい影響力があればいいのに。

「みわ、同性同士ってどう思う?」

「え? どういう意味? ……同性同士の恋愛ってこと?」

「そう」

え、それって。
さっきのふたり、もしかして……?
そういうこと?

でも、緑間さんは凄く優しい笑顔だった。
高尾さんも、楽しそうだった。

「……個人の自由だし、いいんじゃないかな。世間的には色々……あるかもしれないけど、やっぱり好きなひとと一緒にいたいよね」

テレビでコメンテーターが言いそうなおきまりの台詞になってしまった。

でも、あまりにもあのふたりは幸せそうで。

「みわは懐が広いっスね」

「そんなことないよ」

「……」

「涼太?」

「ん、なんでもないっス」

友人として、悩む事があるのかな。
でも、どんな恋でも応援してあげたいよね。

「悩みごと? ……私じゃ力になれないかもしれないけど」

「ううん、そうじゃないんス。アリガト」

「お客様おふたり様ですか? お待たせ致しました、中へどうぞ!」

「あ、はい!」

促されて店内へ入ると、店内は沢山のお客さんで賑わっていた。

緑間さんたちは、一番奥の席で向かい合って食事をしている。

緑間さんがこちらに背を向けていて、高尾さんがこちらを向いているかたちだ。

視野の広い高尾さんが、私たちをすぐに見つけた。

ニコニコと嬉しそうにすると、緑間さんに何かを話しかけ、緑間さんがこちらを振り返って驚いた顔をしていた。

軽く会釈をしたところで、私たちは入り口近くの席を案内された。

緑間さんたちとは垂直方向の席なので、どちらも横を向けば緑間さんの背中が見える。

「高尾さんも、こういう所に詳しいのかな」

「社交的っスもんね」

一言二言、ふたりについて話しているうちに、テーブルにはすぐに天ぷら蕎麦が運ばれてくる。

大晦日は、天ぷら蕎麦のみの提供らしい。
だからこそ、こんなにも回転が速いのだろう。






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