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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第51章 おかえり


「……いまね、涼太で頭がいっぱい。クラクラするの。クラクラ……」

そう言ってみわは倒れ込んできた。

「……みわ!」

お湯の温度は下げていたが、逆上せてしまったか。

シャワーをひねり、浴槽の中で足以外の部分を洗い流す。

滑ると危険なので自分の足を先に流してからみわを洗い、抱えて風呂を出た。

乾いたバスタオルで水気を取った後の身体を覆い、ベッドに横たわらせる。

顔と頭を冷やして、スポーツドリンクを口移しで少し飲ませた。

「けほ、ありがとう……ごめんなさい」

……やはり様子がおかしい。

この情緒不安定さはどうしたんだろう。
オレとのセックスを楽しんでくれているだけならいいが、やはり少し箍が外れてしまっている気がする。

突然記憶が無くなったり戻ったりする事で、不安になっているのかもしれない。

当然のことだろう。
良くあることでも、誰もが経験することでもない。

それでも全部、全部受け止めるから。
冬休みの間は、ふたりでゆっくり過ごそう。

……ホントは、箱根にでも行って温泉に入りたかったんスけど。

記憶が戻る前のみわには少しハードルが高いかと、やめてしまった。

「……涼太、年末年始は……ご実家には帰らなくていいの……?」

「ああ、いいんス。女3人で年末年始は旅行だって言ってたから、どうせ帰っても誰もいないんスよ」

「……そうなんだ」

「姉ちゃんがみわにお土産買ってくるって、張り切ってたっスわ」

「……うれしいな」

「みわは、元旦にお祖母さんの家に帰るんスか?」

「うん。……涼太も一緒に来てくれる?」

「モチロン!」

「えへへ、やったあ。おせちの仕込み、私もやったんだよ」

「そうなんスか? 楽しみっス。
みわは料理が本当に上手いから、いいお嫁さんになれるっスね」

「へ……」

「……あ、いや、なんでもねぇっス。みわ、ちょっと寝たらどうスか?」

「ううん、もう少し横になっていたら起き上がれると思う。お蕎麦、楽しみ」

「こんなんで外出て大丈夫っスか?」

無理ばっかりするのが通常運転のこの子だ。
こんな風になった時くらい、のんびりできねぇんスか。



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