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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第51章 おかえり


なんで私はこうなんだろう。
いつまで経っても慣れてくれない。

……逆に、ベッドの中での彼を知っていて、自分も知られているから余計に恥ずかしいような気がしているのだけれども。

上着を脱ぐと、鏡の中の自分の身体中につけられたキスマークが目に入る。

これ温泉とか……絶対行けない……

がっくりとしつつも、彼につけられた印を指でなぞると、吸い付いている彼の姿が浮かんで、ゾクリと背筋に甘い衝動が走った。

そろりと浴室に入ると、浴室内に爽やかな香りが広がっている。

シャワーの音がする方を見ると、鍛えられた背中に幾筋もの泡が流れているのが見えた。

シャンプーを流しているだけなのに。
ああ、何故こんなに欲情するの。

後ろから抱きつきたくなる気持ちをなんとか押し留めた。

「……みわ」

ちょいちょいと手招きされてイスに座るよう誘導される。

あの、そのシャンプー後のオールバック、見慣れなくてやめて欲しいんだけど……!

「あの、髪なら自分であら、洗えるます」

「ぷっ、なんでそんなにキンチョーしてんスか?」

一通りケラケラと笑われて、問答無用でシャンプーが始まる。

髪をひとに洗って貰うのって美容院くらいだけど、すごく気持ちいい。

目を伏せてうっとりと堪能しているうちに手際よく髪の手入れが終わり、バンスクリップで纏められた。

「あ、ありがとう」

男の人なのにホントに器用だなあ、と思ったけど、夏場はよく女子のように勉強中は前髪だけ結んだりしていたから慣れてるのかな? モデルさんだし?

……それとも、女のひとに慣れてるからかな。

……いやいや、こういう事は考えないって決めたんだから。

身体を洗う時も、いつもはあちこちを触ってくるのに、今日はアッサリしたもので。

……やだ。これじゃまるで触ってくれるのを期待してるみたいじゃない。

ふたりとも身体を洗い終えると、涼太が先に湯船に入り、またもや手招きで私を誘う。

浴槽の縁に手をつけて、足を湯船に、ん……!?

「……なに、これ?」

温度はお湯なんだけど、お湯じゃない。
なんかトロトロッとした……アメーバみたいな……そうそう、これは……

「スライム!?」

ぶはっと盛大に吹いているひとがいる。
なんかおかしな事、言った?



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