第50章 ウィンターカップ、その後
くたりと身体を横たえ、荒い息を整える事もせずにみわは快楽を堪能していた。
まだぼんやりと意識が漂っている様な様子から、今は刺激することを控えて自分の左腕をみわの頭の下に滑り込ませる。
「ぁ……」
薄く開いたままの唇の端から涎がたらりと垂れていた。
紅潮した頬には涙が伝っている。
オレとするのは初めての今のみわはちゃんと感じてくれただろうか?
本当は痛かったりしなかった?
相変わらずそんな事ばかり考えてしまう。
自分の中にも過去のトラウマのようなものがあるのだと分かってしまい、ウンザリした。
いい加減、囚われ続けるのはやめよう。
今は、この幸せな気持ちだけ、共有したい。
「みわ、身体……辛い?」
「なんか……ふわふわしてどこかに飛んでいきそう」
ふわふわ、とは。
「……風船みたいに?」
「……うん……なんか……そんな感じ……」
全く身体には力が入っていない。
大丈夫っスか?
空いた右手でみわの髪をくるくると指に巻きつけて弄ると、艶のある髪はするりと指を抜けていった。
「わたし……しあわせ」
「うん、オレも」
「……ありがと……、黄瀬、くん」
声が掠れて殆ど出ていない。
「……眠い?」
「……ううん……ぽーっとするだけで、眠くはない、と思う」
ハッキリとそう言った筈なのに、少し頭を撫でていたら、目を閉じて寝息を立て始めた。
暫く寝顔を眺め、自分にも限界がきたことを悟ると、温かい肌を抱き、眠った。