第50章 ウィンターカップ、その後
夏合宿でみわが無理矢理キスされて。
ゴムがないからって最後までしなかったんスよね。
結局なんだかんだ邪魔されたりで最後まではする機会がなかったけど……初めてみわを抱いたのはストーカー事件の時だ。
みわに求められて、嬉しくてまた発狂しかけた。
一緒に暮らすようになって、知らなかったみわの素顔が見れるようになったのが嬉しくて。
オレのことを一番に考えてくれるみわ。
ヤツとも一悶着あったが、無事に逮捕されて安心している。
……みわは、その記憶もないようだ。
みわとはそれから何度も愛し合って……ケンカもしたっけ。
甘い休日を一緒に過ごしたりしたのに……あの傷害事件があって。
……正直、事件の当日の事はショックでオレも朧げにしか覚えていない。
二度とみわに会えないと思った。
目を覚ましたみわがオレと恋人だった事をすっかり忘れてて、みわが遠いところへ行ってしまったと思った。
でも……今オレはまたみわの中にいる。
こころを繋いで、身体を寄せ合っている。
みわ……
「はぁ……黄瀬……くん……大丈……夫?」
「え……?」
「……涙が」
みわがオレの頬に両手を当てると、目元を拭ってくれる。
気付くとオレはまた涙を流していた。
「あれ……おかしいな、オレ……」
次から次へと溢れてくる。
胸が痛くなって、止められない。
「……っ、みわ、みわっ……!」
「……うん……」
みわは何も言わずに抱きしめてくれた。
寂しかった。寂しかったんだ。
ひとりきりになってしまったようだった。
みわに愛されたくて、焦がれて。
自分に価値が何も無くなってしまったように感じて。
壊れているみわに何もしてあげる事が出来なくて。
苦しかった。
「……みわ……ありがとう……」
「お礼を言うのはこっちだよ……。記憶を失くす前の私は幸せだったって、戻りたいって毎日強く思う事で、頑張れるんだよ。……ありがとう」
「みわ……」
重なった身体の熱が更に上がり、繋がっている秘部は溶けて一体になったような感覚だった。