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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第8章 マネージャー


ふたりきりの帰り道。

みわっちがマネージャーになってくれてからは、帰りは部の皆でワイワイ帰っているから、なんだかすごく久しぶりだ。

「黄瀬くん……怒ってる?」

みわっちは、ふたりきりになるといつも通り、少し声が控えめになる。
部活の時は、頑張って大きな声出してるんスね。

「怒ってないっスよ」

別に、怒ってはいない。けど、面白くない。
オレに1番に相談してくれればいいのに……

「笠松センパイって……頼りになるっスよね」

「うん、本当にそうだよね。つい頼っちゃうの」

「みわっち、なんでオレに最初に言ってくんないんスかー?」

「え……ちゃ、ちゃんと出来るようになってから言わなきゃ、って……」

「オレにもやって欲しいんスけどー」

「一応、明日先輩の調子聞いてからじゃないと……逆効果になってないか心配だよ……」

みわっちに下心なんてあるわけない。
一所懸命なだけだ。それはわかってる。
センパイだってそうだ。

オレ、嫌な奴っスわ……。

「……みわっち」

「ん?」

「マネージャー、どうスか?」

「うん、楽しいよ……頑張って、早く役に立てるようになりたいなあ」

みわっちの評判はいい。
頭の良さからか、状況判断は速いし、融通もきく。

いくつものことを一緒にお願いしても、優先順位を間違えることはないし。

何より、ひたむきで素直に一所懸命頑張っている姿に、目を奪われる。
皆がつい、応援したくなってしまう。

「これからもよろしくっスよ」

「こちらこそ」

そして、表情が明るくなった。
よく笑うようになった。
クラスでも、仲の良い友達ができたみたいだし。

「オレ、みわっちの笑顔好きなんスよね」

「えっ……?」

照れるみわっち。
はにかんだようなこの表情も久しぶりだ。

彼女の部屋でキスをしたのは、いつだっただろうか。

あれから、みわっちに全く触れていない。
ふたりとも、毎日必死だったし……

「みわっち、手、繋いでもいいっスか?」

「えっ、あっ……うん……」

寒かった季節はいつの間にかすっかり息を潜め、初夏を感じさせる風の中、手を繋いで帰った。



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