第50章 ウィンターカップ、その後
「ん、ん、ぁ……」
口内をくまなく蹂躙する舌が熱く、目の前に靄がかかったようになる。
頬を撫でる指先が優しくて、腰の辺りがそわそわして、つい足を絡めてしまう。
「みわの足、すべすべ」
黄瀬くんはさっきからキスの合間に恥ずかしい事ばかりを言ってくる。
「っえ、あ」
すぐにまた唇が合わさって、言い返す事も出来ない。
頭が熱くて、ボーッとする。
「みわ、ケガが治ったら……キモチイイ事、してあげる約束だったけど」
それは……2ヶ月も前の話じゃ!?
まだそんな約束、覚えてたの……!?
「え、あの、えっと」
「みわの身体、触ってもいい?」
「……あの、すごく、恥ずかしい……」
ドキドキしすぎて、倒れそうだ。
「怖かったら、言って」
頬に触れている手が、首筋をなぞり鎖骨に触れる。
身体を走るビリッとした感覚に微かに身を震わせていると、
突然耳を舌で愛撫された。
「っ、ちょ、ちょっと、触るだけじゃあ」
舌は丁寧に汚れを舐めとるように這い、耳の穴に侵入してくると、思わず腰が浮いてしまう。
「っあ、んん」
これは、自分から出た声?
鼻にかかったような、甘ったるい声。
気持ちが悪い。
手で自分の口を覆った。
舌は首筋を通り、ちろちろと周辺を愛撫していく。
「っ、っ……」
デコルテをゆっくり舐めまわされていると、手が部屋着の裾から入ってきた。
「みわ、声出してよ」
「っや、やだ」
指は脇腹を沿ってどんどん上がっていく。
就寝時にブラジャーはつけていないから、そのままいくと、すぐ乳房に到達してしまう。
恥ずかしい、死ぬほど恥ずかしいのに……この先を期待している自分にもハッキリ気付いていた。
指は僅かに下乳を掠め、予想とは異なり腋の下へと向かっていく。
普段ならくすぐったいそこは、彼の指が触れると、感じたことのない快感となって襲ってくる。
「っあ、あっ」
「そうっスよ……可愛い声」
聞いたことのないような甘い声でそう言われ、恥ずかしさも最高潮で。
でも、
でも……!
「っ黄瀬、くんっ……」
「ん? どしたんスか?」
「私……汚れて……るから……触らない、で……」
後から幻滅されたくない。
嫌われたくない。
黄瀬くんは大きな溜息をついた。