第50章 ウィンターカップ、その後
みわは、記憶がなくなってもまた同じ事を言っている。
……それだけ、染み付いてしまっている、ということなんだろう。
「オレは何度でも言うけど、みわは汚くないっスよ」
なんだか最初にキスした時を思い出す。
オロオロするみわが可愛いと思ってしまうのは不謹慎っスか?
「で、でも」
彼女の手が初めて抵抗を見せる。
戸惑うようにオレの腕を押し返す手。
「みわは、どこが汚れてると思うんスか?」
「……え?」
「教えて。どこが汚れてるの?」
「え、え、そんなの……全部……」
「ん、わかった」
みわの部屋着のボタンを上から外し胸元が見えるように広げた。
「あっ、ちょっと、え?」
「そんなに言うなら、オレが全部キレイにしてあげるっスよ……そもそも汚れてねぇけど」
鎖骨から肩口に舌と唇を這わせ、部屋着を脱がしながら二の腕、前腕部から手の甲、手の平や指先まで優しくキスし、舌で愛撫する。
「あっ……」
困惑しながらの悩ましげな声に興奮が抑え切れない。
どんだけおあずけだったと思うんスか。
くまなく、全部愛したい。
みわは顔を覆って声を抑えてしまう。
「……ぁ……っ……」
「みわ、ちょっと」
細い手を掴んで引き寄せると、みわは目に涙を浮かべて赤面し、息を荒げていた。
「……怖い?」
みわはふるふると首を横に振る。
勢い良く振ったせいで、溜まった涙が雫になって飛び散った。
それすらも美しく見える。
「気持ち良くない?」
少し躊躇ったあと、小さくまた首を横に振る。
それはまるで、感じてはいけないのだと自分に言い聞かせるように。
「気持ちいい?」
更に時間を置いて、微かに頷いた。
恥ずかしいのか、困っているのか、眉毛はハの字になってまた涙を溜めている。
「バスケ頑張ったご褒美だと思って、怖くないなら……続けてもいいっスか?」
ここでご褒美とか言っちゃうあたり、本当にずるいなと思うんスけど。
「……ご褒美って……だって、黄瀬くんにして貰ってるだけで私、なんにもしてないよ」
「いいんスよ。オレがしたいってワガママ言ってるんスから」
我慢しきれずピンク色の乳首に吸い付くと、躊躇いがちな嬌声が上がった。