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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第49章 ハロウィン


あー、バカバカ。
こんなに突然席を立ったら皆の空気壊す……。

こっそり出てきたから、大丈夫だよね?

でも、見ていられなかった。
可愛い先輩に膝枕されてる黄瀬くん。

すごく絵になってた。

黄瀬くんが先輩の衣装を褒めたあたりから、私の胸の中によく分からない、覚えのない黒々とした感情が渦巻いている。

もやもやして、嫌な気分。

これは一体、なんなのだろう?
なんでこんなに、嫌な気持ちになるんだろう。

俯いていると、リビングのドアが開いたのに気付いた。

「神崎」

「小堀先輩……」

「神崎、ごめん。無神経だった。こうなる事、予想出来なかった訳じゃないのに」

「え?」

「黄瀬がああなって、嫌な思いしたろ。ごめんな」

「いえ、そんな……気にしないでください! そういうのじゃないです、すみません……」

そういうのじゃないって、じゃあどういうの?

……

嫌だ。
彼が、他の女性に触れるのが嫌だ。

なんでか分からない。けど、嫌。
とにかく、嫌だった。それだけ。

惨めな自分に嫌気がさす。

記憶がなくなる前の私なら、この気持ちの理由が分かった?
どうしたらいいのかも知ってた?

胸に何かが詰まってるみたいで苦しい。
胸の前で拳を握ってこの気持ちに耐えようとしたら、涙が勝手に出てきた。

「神崎……」

「みわ!」

先輩の背中から声がする。
その向こう側から現れたのは……

「黄瀬」

「あ、小堀センパイスンマセン。後は、……オレが話すんで」

「……悪いな、黄瀬、神崎」

小堀先輩は申し訳なさそうにそう言うと、リビングに戻って行ってしまう。

私は、顔を上げることができない。
気持ちがごちゃごちゃして、整理できていない。

「みわ」

黄瀬くんが顔を覗き込んでくる。

「みわ、顔見せて」

「……」

せっかくイズ先輩にして貰ったメイクが落ちちゃうかもしれない。
そっと目元の涙を拭った。

「みわ」

「……」

優しい声。
少し困ったような声色。

「顔上げないと無理矢理キスするっスよ」

「……」

「ねえ、みわ」

「…………て」

「え?」

「キス、して……」

「……っ!」

黄瀬くんは私の腕を掴んで、寝室のドアを開けた。


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