第49章 ハロウィン
「え、ええ!? イズ先輩私無理ですこれ!」
「大丈夫! ほら、マントもあるから! 軽くメイクもしてあげるね」
「うううあうう……」
イズ先輩にズルズルと引きずられてリビングに戻ると、男性陣の着替えも済んでいた。
「イズ、いいね!」
森山先輩はオオカミ男の格好。
イズ先輩を見て大喜び。
他の人も皆おお、とか言っている。
これを可愛いと思わない男性はいないだろう。
ちょっと目線が下にいってるあたり、男のコだな……。
イズ先輩、Fカップ以上ありそうな事、言ってたし……。
笠松先輩は海賊、小堀先輩はミイラ男、早川先輩はパンプキン、中村先輩はオバケだ。
皆背が高いから、迫力が凄い。
「黄瀬にメイクまでされたぞ……」
「皆似合ってる〜! バッチリっしょ!?」
イズ先輩が嬉しそうに言うけど……あれ?黄瀬くんは?
「やっと付いたっスわ〜」
背後から声がする。
自分の部屋で何か付けていたらしい。
振り向くと、ドラキュラの格好をした黄瀬くんがそこに。
綺麗な髪から出たツノ、口元からはキバ、広い胸板によく似合うワインレッドのシャツに長い足が際立つ黒いパンツ。
滅茶苦茶、格好いい。
目が釘付けになって離れない。
「黄瀬、さすがにモデルだな。仕上がりが違う」
「黄瀬くん、いいよ〜格好いい!」
皆が口々にそう言うけど、私は言葉を失っていた。
格好いいとかいうレベルじゃない。
「お、イズセンパイデビルっスか? 小悪魔な感じでカワイイっスね! ちょっと胸元エロくないスか〜?」
にっこり微笑んでそう言う黄瀬くん。
……ずきん
可愛い。
イズ先輩、確かに可愛い。
胸も大きくて、エロい。
けど……
何、なんかもやもやした気分。
「……で、神崎はなにそれ? コウモリ? 違うよな?」
森山先輩が目ざとくそう言った。
先ほどからマントを前でピッタリ合わせて見えないようにしているから、確かにコウモリみたいだ。
いや、これならコウモリの方がマシだった。
「みわちゃんは、魔女だよ! ほらほら、見せて見せて!」
「ま、待って下さいイズ先輩、私やっぱりこれ無理です!」
「なーに言ってんの! 大丈夫大丈夫! パーティーなんだから! はいっ!」
「あー!」
イズ先輩が無理矢理マントをめくった。