第48章 弱音
「ごめんね、ヘンテコな勉強法で。参考にならないよね」
いやまあ、それがやれれば誰も苦労しないっスよね……。
みわは苦労してこのやり方が最適と分析したんだから、やっぱりこれは彼女オリジナルのものだろう。
「高校はまだ範囲が狭いからこうやれるけど、大学行ったらそうはいかないだろうから、なんかいい方法探さなきゃ……」
うう、悩みの質が違う。
「同じようにやれたらオレも天才なんだろうけど……ちょっと無理っスわ」
「でも、覚え方なら教えられるかも。例えばここなら……」
なるほど。
みわはただ暗記してるだけじゃない。
物事の関連性から自分の特徴、教師が何気なく話してるエピソードとかもちゃんと繋げて覚えてるから、テストが終わったとしても、忘れないんだ。
テストが終わった途端全部抜け落ちるオレとは大違いっスね。
こういうの、みわらしいというか。
実直で、不器用で。
彼女の好きな部分だ。
苦手だからって諦めない。
自分なりに努力して、改善して今はてっぺんに立っている。
この間こっそり部屋にお邪魔した時にも、洋食料理のレシピを色々調べている形跡があった。
スポーツ選手に必要な栄養とか。
オレなんてそんなの考えもせずに、美味い美味いって食べてるだけで。
見習わないと。
「とりあえずみわセンセー、超真面目にヤマかけて貰えないっスか。人助けだと思って」
「う、うん、分かった。やってみるよ。……まずね、歴史の先生はここの戦が凄くお好きみたいだから、ここと」
「なんでそんなのわかるんスか」
「……え? 授業中のお話聞いてると、ご自身でも色々行ったりしてるんだなって」
……オレが思ってたヤマの質と違う……。
ここはみわセンセーにお任せしよう。
学校創立以来の天才、って言われる意味が分かってきた気がする。
勿論、本人のセンスと能力が並外れてるってのもあるけど、この子は努力の天才だ。
「……みわ」
「うん?」
「好きっスよ、すげぇ」
「……え!?」
真っ赤にして照れるのは変わらない。
さっき洗面所でも見たな。
オレのこと、考えてた?
「惚れ直した」
「な、なに、それ」
「いいんス。オレが分かってれば。次教えて、センセー」