第48章 弱音
「黄瀬くん、でもやっぱりこうじゃないの。……黄瀬くんのこころの隙間を、埋めたいの」
……何言ってんスか……それって……やっぱり、さっきの殆ど聞かれてたんスね。
「も、オレはこれで十分」
「私は、足りない」
みわの指が背筋から首筋を撫で、突然の緩い快感に身体が震えた。
「っ、みわ、ダメだって」
「何がだめなの? ……確かに私は……記憶がないけど、でも今のこの気持ちは本物だもん。記憶がなくても、私は私、って言ってくれたよね?」
……それは、間違いない。
……今のこの状態で、みわに甘えんのが怖いんスよ。
幻滅させたくない。
カッコ良くて、包容力があって、頼れる男でありたい。
「みわは……みわっスよ」
「……ごめんね、困らせているのは分かってる。だから、なんでもいいから。ね?」
……はあ。
「……もー……じゃあ……」
オレも何を言ったら納得して貰えるのかよく分からなくなって、苦肉の策を口にする。
「……オレがひとりでするから、手伝って」
かなりアホな事を言っている自覚はあるが、何もせずにみわが納得する方法が全く思いつかない。
つかよく考えたらなんだソレ。
オレがみわの前でオナニーするって?
逆だろ。みわのなら見たいけど。
こんなヤローの公開してどうすんだよ。
「……それで、いいの?」
いや、そんな事だってさせたくないんだってば。
でも、抱きしめる以上のセックス未満ってアタマの悪いオレではいい案がない。
「……こっちこそ、甘えていいんスか」
バーカ……お前はみわに甘えてばっかだろ。
「うん、いいよ……」
ベッドの上に向かい合わせで座る。
なんだこれ、新婚初夜か。
「……ねえ、本当にいいんスか?」
「大丈夫。……口で、すればいい?」
みわさんそれはもうオナニーじゃなくてフェラだから!
「あ、いや……オレの処理はオレが自分でやるから大丈夫」
絶対、今のみわに口でさせたくない。
「……私、いる意味なくない……?」
「キス、しながらしていい?」
……もう多分妄想だけでイケるくらいギンギンだけど……。
「……ん」
キュッと目を閉じて唇を少し突き出すみわ。
あー可愛い……