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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第47章 距離


日曜日は家で勉強をしながらゆっくりと過ごして。

心配したけど、夢も見ずに月曜の朝を迎える事が出来た。

起き上がると、既におばあちゃんは隣にいない。

お魚の焼ける匂い。
朝食の準備をしてくれているようだ。

居間には寄らず、台所に顔を出す。

「おばあちゃん、おはよう」

「あ、おはようみわ。眠れた?」

「うん、寝れた」

「着替えていらっしゃい、お手伝いしなくていいから」

「いいの?」

「お待たせしたら悪いでしょ」



「じゃあ、先に準備してくるね」

洗面所で顔を洗い、パジャマを脱いで制服に着替えた。

あ、思えばブラウス1枚、救急車での処置の時に切り裂かれてダメになったって言われたな……うう、制服って高いのに……。

再び台所に顔を出すと、既に朝食は作り終えてしまったようだ。

「おばあちゃん、遅くなってごめんね。おみそ汁よそえばいい?」

「うん、そこにお椀出してあるから」

居間からおばあちゃんの声がした。

「はーい」

豆腐とわかめ、ネギの入ったおみそ汁を器に入れようとすると、お椀が3つある事に気付く。

慌てていたのかと、とりあえず2つに注ぐ。

鍋からの湯気が頬を撫でたのをきっかけに、なぜかふと、昨日のキスを思い出す。
柔らかくて、温かい。

もっと深く、深くまで入ってきてほしいと思うのは、変だろうか。

顔が少し赤くなりそうだったので、慌てて思考を切り替え、居間へと足を踏み入れた。

「!?」

「あ、みわ、おはよ」

突然視界に入ってきた彼黄瀬くんの姿に、思わずおみそ汁を落としそうになる。

「わっ、あぶねっ」

それを彼が見事にキャッチしてくれた。

「セーフっスね」

「え、え、あれ、どうして」

「黄瀬さんが迎えに来てくれたから、朝ご飯まだならどうぞって、ばあちゃんが誘っちゃった」

「い、言ってよ……!」

危うく、だらしないパジャマ姿を披露するところだった。

黄瀬くんには驚かされっぱなしだ。
一体、何時に家を出てきたの。

突然の黄瀬くんの登場に、心臓がうるさい。
目が合うと、にこりと微笑んでくれる。

学校でファンの子に向ける笑顔じゃない。
もっと、ぽかぽかあったかくなるようなそんな笑顔だ。


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