第46章 自宅
身体の奥で燻る火に目を背けながらベッドから抜けようとすると、秘部から温かい液体が流れ出るのがわかった。
既に粘液は太腿を伝い、シーツを汚してしまっている。
「やっ、ごめんなさい……!」
慌ててベッドサイドにあるティッシュを数枚取り、起き上がって拭こうとした。
腰を上げた瞬間に、またわずかにトロリと太腿を伝っていく。
「あ……」
これ、この間の病院で夢見た時より沢山出ている。
私、どこか悪いの?
これ、なに?
……お尻の中に出された時にも、後からこんな感じでドロドロと流れ出してくる事があったけど……これは違う。
ジンジンする。
痛いんじゃなくて、キュウッと切なくなってしまうような、充血しているような……そういう感じ。
黄瀬くんに見られていないかとチラリと確認すると、彼は優しく微笑みながら私を見つめていた。
「やだ……まって、見ないで……な、なんでこんな風になっちゃうのかわからないの……私、どこか変なのかも」
「感じちゃった?」
「え?」
「オレとキスして、気持ち良かった?」
黄瀬くんとのキス。
……すごく気持ち良かった。
まるで食べられてしまうかのような唇の熱と、自由を奪う舌の蠢き。
でもそれを口にすると、彼に淫乱女と思われてしまう気がして、頷くだけしかできなかった。
「大丈夫?」
「え? なに? なにが?」
「その甘〜い蜜がさっきからオレを誘ってるんスけど」
あまい、みつ?
何のことか分からず辺りを見回していると黄瀬くんが手を伸ばしてきた。
「えっ、えっ、なに」
長い指が、下にある唇を撫でた。
ヌルッとした感触が分かる。
「ひぁっ」
花弁を少し擦られただけなのに、脳天までビリビリと電撃が走るような快感。
思わず腰が浮いて変な声が出てしまう。
「ああ……もうグショグショっスね」
黄瀬くんは指を離すと、事もあろうに濡れた指をベロリと舐めた。
「やめて、汚い……!」
「汚くないっスよ。甘くて、最高」
「もうやだ、これなんなの……」
訳のわからない状態に混乱を隠せない。
自分の身体なのに、壊れた水道のように出てくる液体。
自分じゃないみたいだ。
「みわが、男を……オレを受け入れられる状態になってくれたってことっスよ」
「?」
どういう意味?