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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第46章 自宅


身体が重いな……背中が、痛い……。

ああ、でも病院とは違う、この布団の感覚はいつもの、感じ……

気持ちよくて、目を覚ましたくない。
でも……起きなきゃ……

なんとか目を開けると、目の前が肌色に染まっていた。

あれ?
なんだっけ、これ?

ぺたぺた触ると、あったかい。

「起きた?」

頭の上から声がする。
……黄瀬くんだ。

「ごめんね、ちょっと横になるつもりが寝ちゃってたみたいで……」

「瞬殺だったっスよ?」

くつくつと笑う優しい声。

「……なんか、黒子くんと遊びに行った日の事思い出すね、このシチュエーション」

「……え?」

「ん?」

「思い出したんスか?」

「……あれ?」

今なんとなく浮かんだだけだけど、思い出した。
黄瀬くんが寝込んだあの日。

なんだかんだで、黄瀬家に泊まったんだ。

「……なんか、いつの間にか思い出してた」

「起きてオレが横に居たら怖がるかなって心配してたんスけど」

「……ううん、大丈夫」

「なら良かった。他には? なんか思い出したっスか?」

「……ううん、黄瀬くんとの記憶、まだそれしかない……」

でも、思い出せる。
これなら絶対、思い出せる。

「少しずつ、思い出そう」

「うん……」

「傷、痛い?」

黄瀬くんは、ずっと気にしてる。
罪悪感に苦しまないで欲しいのに。

「……少しだけ、ちょっと引き攣る感じ?」

「……ごめん……」

あー……頭撫でられるの、気持ち良い。

「もう、謝らないで。すぐに治るし……黄瀬くんが怪我しなくて良かった」

「オレたち、絶対勝つから」

「信じてる……エース」

いつものように、小さく拳を合わせた。



「しかし、なんで突然思い出したんスかね。なんか思い当たるきっかけとか、ある? 家の中で何か見つけたとか」

……特に、家の中で気付いたことはなかった。
部屋を見て、ここに住んでいたんだなって実感したくらいで……

きっかけ……

「……キス、したのが良かったのかな?」

「みわ?」

「それしか思い当たらないよ」

「うーん……そうっスか」

「キス……したらまた、思い出すかな」

私、多分すごくはしたない事言ってる。
でも。

「みわ……」

やっと掴めた元通りへの手がかり。
なんでも、試したい。


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