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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第45章 欠落


「みわ、明日退院できるかもしれないんスか?」

今日は練習がないからと、黄瀬くんは早い時間から病院に来てくれた。

「うん、今日1日特に問題なければ明日退院だって」

「……良かった……」

黄瀬くんは本当に安心した顔で、はあと息をついた。

「みわ、オレまだちゃんと言えてなかった。……ありがとう」

それはまさかの、お礼の言葉。

「……何が?」

「……オレの代わりに……こんな思いする事になって……」

……やっぱりあきの言っていたことは本当みたい。

「ううん……それは、いいの……私こそ……思い出せなくて……ごめんなさい」

「仕方ないっスよ、それは。……オレさ、今日ここで勉強」
「あの、黄瀬くん」

黄瀬くんが鞄から勉強道具を取り出そうとしているのを遮った。

「何スか?」

「あの、私たちが一緒に行ったところ、どこでもいいんだけれど、明日……連れてってくれないかな。何か思い出すかもしれないし……」

「モチロンそれはいいんスけど、まだ外出は無理しないで、もう少し体力とか身体が戻ってからの方が良くない?」

「あ、そう、だよね……テスト前だしね」

私また、自分の事しか考えてない。
これ以上彼の足を引っ張ってどうするの。


「一緒に家で勉強する?」

「え? 家って、黄瀬くんの?」

家で、……勉強?

「あー、うん、オレのっていうか……うん、まあ、そんなとこ」

「?」

そんなとこ、とはどういう意味なんだろう。

「いや、嫌なら他で……」

黄瀬くんが何か悪だくみをしようとしているようには見えない。

「黄瀬くんの家でふたりで過ごす時間って、そんなに多かった?」

「……うん、多かったっスよ」

そうなんだ……家にノコノコとひとりでついていって、大丈夫なのかな……。

もし危なかったら、逃げてこれるかな。

でも、おばあちゃんは黄瀬くんのこと、信頼できるひとだって。

あきも、黄瀬くんのことを信用している口ぶりだった。

私も、私なりにふたりの関係を考えたりしてる。

……怖いのは確かだけど、行った方がいいような気がする……。

多分、私たちの関係って……






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