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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第45章 欠落


「いやー災難だったね〜、黄瀬のファンに刺されたんだって? 心配したんだから」

「ごめんね、心配かけて」

あきには珍しく、目の下のクマが凄い。
いつもの調子で話してくれてるけど、心配かけてたのがよく分かる。

「ばあか」

ぎゅっと抱きしめてくれるその体温が心地いい。
ありがとう。あき。

「もー黄瀬がみるみるうちに弱ってくから気の毒でさ。治ったら仲良くしてやんなよ」

……さっきの黄瀬くんを思い出す。

「……それが……」

私は、今の状態をあきに説明した。

「そ、そりゃまた器用に忘れてんのね」

「……私……黄瀬くんとうまくいってなかったのかなあ……?」

「は? なんで?」

「だって……黄瀬くんとの関係だけ忘れるって、ちょっと普通じゃないよね……?」

「うーん、喧嘩したりもあったけど……あんたが命がけで守ろうとしたくらいには黄瀬のこと、大事にしてたと思うけど」

命がけ? 守ろうと?
あき、何言ってるの?

「……何言ってんのって顔してるけど」

「え、あ、うん。私、どういう状況で刺されたのかって覚えていなくて……なんか、逆恨み的なのかと」

「いや、あたしが聞いたのは、あんたが黄瀬を庇って刺されたって。それも覚えてないって、あんたやっぱりどっか悪いんじゃないの?」

「検査では異常なし、だって」

庇ったって、私が……?

「うーん、精神的なものなのかな? ま、焦らずいきなよ、まだそんなに日も経ってないんだし」

「……うん」

「でも、黄瀬にかける言葉にはちょっと気遣ってやってよね。忘れられた方はかなりのショックだと思うの」

「うん、分かった……ありがとう」

黄瀬くんが元気ないのも、私のせいだって……分かってる。

あの表情……。

でも、どうしたらいいんだろう。
誰か、教えて……

「……あき、私……黄瀬くんとどこまでいってたか知ってる?」

「……え」

「知らないよね、普通他人の恋愛事情なんて。ごめん、気にしないで」

「……あー……えーっと……そ、そうね、黄瀬に聞いたらいいんじゃないのかな、ほら、ね、ふたりのことだし、ね」

「ふふ、なあに? あきがそんなに慌てるの、珍しい」

「ま、また来るよ! お大事にね!」

……変なあき。


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