第7章 キス
まだ、出会って1ヶ月と少し。
あの事件から始まった、不思議な縁。
オレは、何に執着しているのだろう?
オレは、彼女のどこにこんなに惹かれているのだろう?
気付いたら、こんなに気になってた。
いくら考えても、明確な答えなんて出なかったけど、少し分かったかもしれない。
ほんとのオレを見てくれる子。
今、オレは、みわっちを独占したいと思っている。
全然余裕なんてない。待ってあげられない。
今思えば、黒子っちがみわっちに惹かれてるって言ってたあたりから、このモヤモヤした嫉妬心や独占欲が顔を出してきた気がする。
「……みわっち、黒子っちと連絡、取り合ったりしてるんスか?」
「えっ? ……今朝から何通か、メールのやり取りはしてるよ」
「……マジっスか……」
なんと、昨日の今日で。
気が焦る。黒子っちに取られてしまう。
欲しい。
みわっち、オレだけを見て。
なんだ、この気持ち。
「……どんなやり取りしてるんスか?」
「えっと、バスケのこととか聞いたり……後は黄瀬くんに聞けないこととか、かな?」
「オレに聞けないこと? 黒子っちには聞けるのに?」
「え、あの、うん、だって……」
「オレ、何でも教えてあげるから、オレに聞いてよ。黒子っちじゃなく、オレに」
「な、なんか黒子くんが出てくると、黄瀬くんちょっと変だよ……仲良しなのに……」
だからだ。
黒子っちの魅力を、オレはよく知ってるから。
「ねえ、みわっち……キスしていいっスか? そういうのだけが目当てじゃないっスけど、みわっちとやっぱりしたい」
みわっちが戸惑っている。
顔を真っ赤にして。
「な、なんでそんなに……あの、ほんとに……わたし……汚くない……?」
「まだ言ってるんスか。キレイっスよ……」
みわっちとの距離を詰め、片手は頭の後ろを支え、もう片方の手は腰に回す。
「き、黄瀬くん……あの、慣れすぎでは……」
こんなに動揺していっぱいいっぱいなのに、彼女には余裕に見えているのか。
「余裕なんかないっスよ……オレ、さっきからワガママばかり言ってるし。
ごめん、みわっち……オレを受け入れて」
オレだけ、見て。
少し強めに、唇を重ねた。