第44章 急転
「……昔から、頑張りすぎちゃう子でねえ。これと決めたら、絶対曲げなかった。優しい、情が厚い子なのに……」
そう言う祖母の目からも涙が流れていた。
「……本当に、オレには勿体無いくらいの……子です」
頭の中のみわは笑って泣いて怒って照れて。
こんなにも鮮明に思い出せるのに、みわはここにいない。
頭がおかしくなりそうだ。
誰か。誰でもいい。
みわを助けてくれ。
黄瀬はひたすら頭を抱え、みわが戻ってくるのを待った。
段々、希望も絶望もなくなってくる。
そのうちに『無』に取り憑かれ、何も考える事が出来なくなっていた。
バスケをしている時に無心になるのとは全く異なる感覚。
頭に浮かぶのは、みわだけ。
『涼太』
『涼太、だいすき』
『涼太、頑張れ!!』
いつもそこに、居てくれた。
いつもオレと、一緒に。
みわに、会いたい。