第44章 急転
直感的に、祖母は最悪の事態を思い浮かべた。
強姦。
この姿は、見ず知らずの男に乱暴されたものではないか。
もしそうなら、洗い流してしまってはだめだ。
膣内射精をされていた場合、その精液が犯人の手がかりになることだってある。
祖母は、優しい口調でみわになにがあったのかを訪ねた。
最初は口が重かったみわだが、性的暴行に関しては相手の男が絶対的に悪い、絶対に貴女を責めたりしない、といった事を口にした途端泣き始め、少しずつ事情を話してくれた。
まさか、自分の娘の新しい恋人が孫娘を犯しているなんて。
娘の次の幸せを祝福していただけあって、にわかには信じがたい…いや、信じたくない話であった。
しかし、日々無理矢理こじ開けられているみわの肛門は確かに繰り返し裂け、酷く傷付いていた。
そして、その日の彼女の下着の中には傷口から流れ出た血液と、直腸内で放たれた精液がべったりと付着していたのだ。
妊娠の危険を考え、膣内には射精されたかとやんわりと聞くと、ひたすら首を横に振るだけだった。
みわがわざわざこんな嘘をつくとは考えられない。
祖母は迷った。
どうするのがこの子のためになるのか。
祖母は警察に相談すべきと判断した。
素人がどうこうできる問題ではない。
そう思わせるほど、みわの身体と心は蝕まれていた。
しかし、それをみわに伝えても警察には行きたくないの一点張りである。
信頼している人間以外に、行為の一部始終を説明したくないと言う。
それはそうだと理解できる。
しかし、説明しなければ何も進まないのだ。
被害者と第三者の埋められない溝だった。
しかし、無理矢理連れて行って黙秘では意味がない。
こんなにも無残な身体にされているのに泣き寝入りするのは祖母としても悔しい思いだが、みわの気持ちを汲むことにした。
風呂には2時間以上入り続けていた。
時間があれば風呂に入っており、ボディソープは、1日1本なくなった。
不浄の穴を毎日のように弄ばれる絶望。
痛みと屈辱に耐える日々。
想像すらままならない恥辱に耐えた日々は、確実にみわを破壊していたのだ。
この日から、みわは祖母の家で生活することになる。