第44章 急転
無事2日目の練習も終わり、みわもホッとした表情。
「おう神崎、お疲れ! 助かった」
「お疲れ様です! こちらこそ、ありがとうございました!!」
……なーんか、笠松センパイと親しげなのが気に入らねえっスけど……。
これ以上妬いたらいい加減みわに呆れられるっスね。
シャワー室で、なんとなく小堀センパイと目が合ってしまった。
何も言う事が出来ず、不自然に目を逸らしてしまう。
……え…、まさか……昼休みの……小堀センパイじゃないよな……?
確認する術はない。気にするのはよそう。
「……仲直りできたんだな」
へ?
まさか話し掛けられると思っていなかったので咄嗟に反応できない。
「あ、ハイ、まあ……」
小堀センパイはそれだけ言って、シャワー室から出て行ってしまった。
「俺は部誌書いてから帰るわ。お前ら、気をつけて帰れよー」
笠松センパイだけ部室に残り、他のメンバーは先に上がることになった。
「お疲れ様でした!」
校門に向かっていると、前方から監督の車が走って来て、オレたちの横で停車する。
「監督、お疲れ様です!」
「おう、神崎。ちょっと笠松連れて職員室まで来てくれ」
「はい! 承知しました!」
監督の車が去っていくと、みわが申し訳なさそうにちらりと見る。
「ごめんね、黄瀬くん」
「いーっスよ。今日も皆で待ってるから。昨日いた校門の辺りね」
「うん。わかった!」
「……今日強引にしちゃった分、今夜は優しく抱いてあげるから」
小さな声で囁くと、みわの顔が火を噴くように赤く染まった。
「……っ、行ってくる!」
走って部室まで向かうみわ。
やっぱり足元がちょっと心配。
でも、いざって時にはピューッと動けるんだっけ?
ひとり、クスクスと笑ってしまう。
「なんか黄瀬、嬉しそうだな……」
ジト目の森山センパイ。
「なんでもないっスよ!」
今夜はどんなプレイにしよっかな。
この間買ったローションでも……。