第43章 告白
女性は、見るからに年上だ。
20代後半か……30代か……?
女性は年齢が分かりづらいんスよね……。
「あスイマセン、オレ彼女いるんで」
さらりとそう断ると、女性は見るからにショックを受けた顔をする。
オレはこういうヒトの心理が全く理解できないんスけど、こんなんで告白して成功すると思ってるんスかね?
「あ……そ、そう……ですよね、同い年の……マネージャーさん、でしたっけ」
なんだ、知ってるのか。
なら話が早い。
「そうっス」
「あの……こんな事言うのもあれなんですけど……私、社会人なので高校生よりも財力はあると思うし……色々経験あるからリード出来ると、思います! よろしくお願いします!」
いや、よろしくお願いしますって……頼んでないんスけど……。
センパイ達は遠巻きに見てる。
アレ、楽しんでんな。
「スイマセン。オレ、今の彼女以外全く考えられないんで。だから、貴女とお付き合いすることは出来ないっス」
「で、でも、ずっと、って訳じゃないですよね……!?」
「……は?」
今ので完全に会話を終わらせたつもりのオレは面食らってしまった。
「いつか、別れる事もあるし……!」
……このヒト、マジで言ってんスか?
「オレ達は、別れないっスよ」
「で、でも、どちらかが死んだら!?」
……頭おかしくなっちゃったのか、このヒト。
「えっと……まあ、何十年後かにはそういう事もあるかもしんないスけど……ハッキリ言うと、貴女には関係ないんスよね」
「あ……そ、そうですよね……彼女さんが、"今は"いるんですもんね……」
いなかったら脈アリみたいな言い方だな。
「あの、これ、連絡先です! もし気が向いたら、連絡貰えませんか!?」
可愛らしい封筒を出される。
凄い。ここまでハッキリ言ってもなお諦めないとは……。
「身体だけの関係からでもいいので!」
後ろで笠松センパイが吹く音がした。
「スイマセン。受け取れないっス。マジで彼女以外、必要ないんで」
「……そう……ですか……すみませんでした……」
やっと諦めたらしく、とぼとぼと闇の中に消えていった。
オカルト並みのしつこさだったな……なんか、どっと疲れた。