第43章 告白
今日はみわの監督代理1日目。
日曜日。
まあ、午前は監督が居たから予め色々相談できたみたいっスけど。
午後、監督が居なくなってからはみわが指揮を取る。
練習自体の指揮は変わらず笠松センパイが取るけど、みわが把握しなければならないのはもっと全体の流れ。
流石、いつも監督の一番近くにいるだけあって、みわが指揮を取っても全く違和感がない。
部員も誰ひとりとして、この状況に異議を唱える者はいなかった。
信頼、されてるんだと分かる。
向いてるんじゃないっスかね、こういうの。
人前に立つのが好きじゃないみわは嫌がりそうだけど。
……顔は緊張で強張ってるのが可愛い。
しかし、監督代理やってるんだから、せっせと部員ノートに記録するのは休んでもいいんじゃないかと思うんスけど……。
みわってホント、全力。
タイムキーパーやって、記録取って、練習回してって超人っスか。
こりゃ、帰ったら即寝だな……
「ありがとうございましたー!」
皆の挨拶の後は、片付けやシャワーの時間。
みわはテーブルに向かって何かを必死に書いている。
「みわ、オレシャワー浴びてくるっスよ?」
「あ、うん」
「何してんの?」
「いや、貴重な体験させて貰ってるからちゃんと記録しておこうと思って……」
「じゃ、待っててね」
「うん」
心ここに在らず、っスかね。
集中してるみたいだし。
シャワーを浴びて出てきても、部室の前にみわはいなかった。
「あれ? センパイ、みわ知らねっスか?」
「ああ、体育館の電気消すから校門で待っててって言ってたぞ」
「了解っス」
だいぶ日が短くなってきたな。
真夏はこの時間でも明るかったのに、この時期だと随分暗い。
センパイ達と一緒にみわを待っていると、突然声をかけられた。
「あ、あの、黄瀬涼太君!」
聞き覚えのない声だ。
「ハイ?」
振り返ると、私服の女性。
ここ最近まとわりついている中には見なかった顔だ。
「あの……突然ごめんなさい。付き合って下さい!!」
……は?
ひ、久々にストレートなのが来たっスね……