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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第7章 キス


「先に謝らせて。みわっち、ごめん。オレ、さっき、その……」

みわっちの唇の生々しい感触が蘇る。

彼女の唇は、雰囲気とは対照的に厚くてぽってりしている。
一瞬触れただけだけど、柔らかくて温かくて、これ以上にないくらい官能的だった。

「あの、でも、チャラい、いい加減な気持ちじゃない。ちゃんと言ってなかったから言うけど……オレ、みわっちのこと、好きなんだと思うから」

「……え、っと?」

しまった。好きだと思うってなんだそりゃ。
みわっちの前だと、変な事ばっかり口走ってしまう。

だって、女の子に自分の気持ちを伝えるなんて、した事がないんだ。

「だから、オレは付き合いたいと思うし、さっきみたいに……自分のこと、汚れてるなんて二度と言わないで欲しいんス」

みわっちの肩が微かに震えた。

「そもそも、なんであんなこと言ったんスか……悲しくなるっスよ」

「聞いたら、引くから……」

「引かないっスよ」

即答だった。そんなもの、するわけない。

「みわっちが言いたくないなら、無理して聞かない。でも、オレは何聞いても引いたりなんてしないっスから」

「本当……?」

「ほんと」

みわっちが、決心したように顔を上げた。

「……わたし……その、母の彼……が部屋に来るようになって……」

「うん」

非常に言いにくそうに、ゆっくり口を開く。

「……く、口で、……させられてたから……」

「!」

頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。

昨日、少しだけ話を聞いた時は、正直ちゃんと彼女の口から全部聞いたわけではないし、それ以上の話は聞かなかったから、考えないようにしてた。

自宅で深夜に味わう恐怖。
その時の彼女は、まだ中学生だ。
どれほど怖かっただろう。

「口に……出されたり……したから……わたし……もう汚れてるから……だから……黄瀬くんまで……汚したくない……」

言葉が出ない。
なんて声をかけてあげればいいのか分からない。

胸が詰まる。
こんな、こんなの、どうしたら。

「……黄瀬くん? どうして、泣いてるの……?」

「え……?」

オレの行き場のない怒りは、涙となって流れ落ちていた。



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