第41章 貴方の好きな
気づくと朝日がカーテンの隙間から漏れ出ていたので、隙間を閉じるためにカーテンを閉め直した。
隣ではみわが規則正しい寝息を立てて眠っている。
余すことなくその肉体を味わい、みわがぐったりと眠ってしまったところでようやく解放してあげられた。
なぜ、足りないのだろう。
どれだけ抱いても、すぐにまた求めてしまう。
いっその事、みわの身体の一部になってしまえたらと、非現実的な妄想までしてしまう始末だ。
オレ、やっぱ病んでるんスかね。
昼間、体位の話が出た時に、あんなにも自分に拒絶反応が出るとは思っていなかった。
ふたりの元を飛び出し、近くにあるトイレに駆け込むと、食べたばかりの昼食を全て吐いた。
自覚はなかった。
なんだか段々と胸の辺りが気持ち悪くなり、気づいたら吐いていたという感覚だ。
まだ、あの光景を引き摺っているのか。
オレが、みわの過去を忘れさせる。
今のオレで、精一杯包んでやる。
そう思っていたのに、自分のこんな脆い部分が出てしまい、自己嫌悪しかない。
強引とも言える方法で無理矢理快楽を叩き込むことしか出来ない。
自分が彼女としているキスやセックスが、彼女を汚してしまっているように思えてくる。
誰か、教えてくれ。
何が正しいのか。
寝ているみわの頬に触れる。
温かくて、柔らかい。
好きだ。
好きなんだ。
ただ、それだけなのに。
「……ん……」
くすぐったそうに頬をオレの手にすり寄せて、寝返りを打つその仕草ひとつにドキドキする。
思わずその身体を引き寄せた。
「……オレ……パーソナルスペース広い方なんスけどねぇ……」
女のコは可愛くて柔らかくて気持ちいいけど、すぐ彼女ヅラするし求められるばかりで、面倒でうんざりする事ばかりだった。
ヒトと近い距離にいるのが苦手で、ニコニコ愛想良くしても、心の奥底まで見せる事は決してなかった。
ヒトと一緒に暮らしているなんて、以前のオレでは考えられない。
「……みわ」
好きで、
好きで。
おかしくなりそうだ。
あきサン、オレはみわと繋がっていられるだけで、幸せなんスよ……。