第41章 貴方の好きな
玄関で突然、衝動的に挿入されたから……避妊はしていないと思っていた私は中に出される覚悟をしていた。
正直、少し怖かった。
しかし涼太が絶頂を迎えても膣内に精液は吐出されず、抜かれたペニスにはきちんとコンドームが被さっていた。
「……起き上がれる?」
「……むり……」
玄関で横たわったまま、もはや指1本も動かせない。
涼太がゆっくりと身体を起こしてくれた。
「……ごめん、身体冷えちゃったっスね」
申し訳なさそうに眉を顰めた顔は、先ほどまで強気で攻めていた彼とは全くの別人のようだ。
ぎゅっとあたたかい身体に抱き締められると軽々と身体を持ち上げられ、ベッドへ運ばれた。
ベッドに私を寝かせてから自分の処理を始めた涼太に声をかけた。
「……着けて、くれてたんだね」
「ん? なんスか?」
「……それ……」
「……ああ。情けないっスけど、オレまだまだガキだし……。オトコは気持ちいいだけで済むけど、傷付くのは女のコっスからね」
「……うん」
ホッとした反面、少しだけ残念な気持ちもあった。
彼の全てを、受け入れてみたかった。
でもそんな軽率な事をするべきではないとちゃんと分かっているし、それを涼太に伝えるのも控えようと思う。
それよりも、これだけ不安定な涼太は初めてで、心配な気持ちの方が大きい。
1日を通して、私は涼太のものだとアピールするような振る舞い、昼休みの態度、そしてさっきのセックス。
涼太のこころが乱れているのが分かる。
きっと涼太自身もそれには気付いていて、振り払うようにセックスをしたかったのかもしれない。
「みわ、お腹空いた? 何か作るっスよ」
足早に部屋を出て行こうとする涼太をなんとか引き止めなきゃ。
「空いてない、から……涼太も、こっち来て」
一瞬目を見開いて驚きの表情をしたが、すぐに笑顔になりベッドに入ってくる。
普通に振る舞う涼太が切なくて、胸に抱きついた。
「どしたんスか? みわ」
「……【みわっち】じゃなくなってる……」
「なんとなくなんスけど、イヤ?」
「嫌じゃないよ。少し慣れなくて……」