第41章 貴方の好きな
「で、みわはどの体位が好きな」
「ちょーっと待って!!」
私は慌てて被せ気味で制止する。
「あれ、あたしなんか変な事言った?」
きょとんとするあき。
「あきサン……アンタの猥談はヤローのとは違って生々しいんスよ……」
「だって、みわがそういうの話せるようになりたいって言うから!」
「うっ……」
「ま、じゃあいいよやめとくわ」
「いや、ちょ、ちょっと待って話すから、あき、お手本見せて」
あきがぶっと吹き出す。
「お手本ってあんた…そんな重苦しいモンじゃないっしょ。ふたりですることなんだから、お互いに分かっておいた方がいいじゃんってその程度のことだよ。あはは!」
「簡単に言うけど……」
そんな話した事ないから、全くの手探りなんです……。
「あたしはまあ、うーん最後は正常位が一番いいけど、カタチも合うし、途中はバックが好きかなあ」
「……バック?」
……しまった。
そもそも知識がないのに話そうってのが無理な話だ。
そういう話題は自分から避けてきたから……。
「……ん? バックだよ? 分かるっしょ、後ろから。超ポピュラーだし、黄瀬も好きだろうし」
……沈黙。
「え……た、多分したこと、ない。ちょっと待ってあき、ググるから」
「あんたマジか」
ポピュラーって……そもそもあんまり、色んな事した記憶はないけどな。
スマホで検索して……出てきた画像を見て、納得した。
ふたりではした事のない体位。
涼太は、敢えてやってないんだと思う。
だって、この体勢って……
「オレ、別に好きじゃねっス」
「ああ、そうなの? 意外。大体のオトコは大好きだと思ってたけど。支配欲と征服欲が満たされ」
「オレちょっと先に戻るっスね。やっとかなきゃいけない事思い出して」
「何よ、ふたりして随分被せてくるわね。まあいいけど。いってらっしゃーい」
「黄瀬くん」
「みわも、また後で」
「……何アイツ、変なの」
……。
「ま、研究するに越したことないし、こんなんもあるんだなーって、このサイトでも四十八手でも見ておけば!」
「48……え……こんなにあるの……」
私、涼太にも重荷を背負わせてしまっている事にようやく気付いた。