第40章 独占欲と
ご飯でも、作っておこう……涼太が帰って来るまでには、まだ数時間ある。
温めるだけにしておけば、後が楽だよね。
キッチンへ移動すると、冷蔵庫に紙が貼ってあるのが見えた。
なんだろ?
"今日はオレが作るから回れ右してベッドに入ること!"
う、なんか色々読まれてる……。
まだ少し頭が痛む。
お言葉に甘えて、もう少し寝かせてもらおうかな。
……私ってそんなに分かりやすいかなあ……。
いっつも、涼太のが一枚上手なんだよね。
ベッドへ戻ると、先ほどあれだけ眠ったのにすぐにまた眠気がやってきた。
次に目が醒めると、外は暗くなっていた。
……20時、かあ……涼太、もう帰ってきたかな……。
起き上がって、リビングに向かう。
ご飯の炊ける匂い。コンロの上にあるフライパンを覗くと、あんかけのようなものが作られていた。
けど、肝心の涼太は?
ソファを見ると、向こう側から足が見える。189㎝の彼にこのソファは少し長さが足りないのかも。
「りょ……黄瀬くん、身体痛くなっちゃうよ」
……改まると、やっぱり【涼太】って呼べない。
心の中では涼太で定着しつつあるけど……。
「……ん……あ、やべ、オレ……寝てた」
そうだよね、部活後に家事なんて……。
「ごめんね、疲れてるのにありがとう。ご飯食べる?」
「あー……うん、オレやるっスよ」
「いいよ、あと盛り付けるだけだもん。あんかけご飯、だよね? スープもある」
「みわっちには……消化のいいあんかけうどんにしようかと……」
このひと……いい奥さんになれそう。
「ふふ、ありがとう。でももう元気。一緒のもので大丈夫だよ」
「んー……」
「準備できたら、声掛けるね」
昼休みだって、帰ってきてくれて。
疲れてるんだろう。
涼太のご飯、すごく美味しかった。
だいぶ疲れてた涼太はシャワーを軽く浴びて、先にベッドで休んでる。
私もシャワーを浴びて、寝ることにしよう。
明日からまた、いつも通り。
涼太の部屋に入ると、当たり前だけどベッドに涼太が寝ている。
ひとりでずっと寝ていたから、なんだか無性に嬉しかった。
起こさないように、軽く下半身をマッサージ。
「ん……」
あんまりすると、起きちゃうから。
ああ、でも寝顔が凄く色っぽい……。
邪な気持ちを振り切って、ベッドへと入った。