第40章 独占欲と
「……みわっち、辛い? 大丈夫? やっぱり無理しないで、病院行った方が」
「そ、そうじゃなくて……心細くて……会いたいって思った時だったから……驚いて……」
涼太はまた優しい瞳で微笑んで逞しい胸の中に誘ってくれた。
安心したのか理由は分からないけど、堰を切ったように溢れ出た涙はなかなか止まらない。
「寂しかったんスね。ひとりにして、ごめんね」
胸がくるしい。どんどん好きになる。
こんなに、ひとを好きになる事があるんだ。
私、このひとを絶対に守りたい。
何があっても、自分の身を挺してでも絶対に。
「あ……少し、汗かいてるみたいっスね。今、着替え持ってくるから」
そっと頭を撫でて、部屋を出て行く涼太。
涙はもう、止まっていた。
すぐに、着替えと蒸しタオルを持ってきてくれる。
「はい、バンザイして」
「え、いいよ、着替えくらいできるから!」
「まだ熱高いんスから、ほら!」
「うう〜〜〜…」
服を脱がされ、蒸しタオルで身体を拭いて貰う。
まるで介護だ。
「……みわっち、オレ今ホントに下心ゼロっスからね?」
分かる。
私の身体のことだけを考えて、優しく丁寧に
拭いてくれているのが。
特に背中は、力を殆ど入れずに押さえるように拭いてくれた。
「背中、痛む?」
「ううん、平気……」
……涼太に下心がないのは分かるんだけど……。
あちこち触られると、その……。
「はい、おしまいっス。冷える前に新しいの着ちゃおう」
ストンと新しいTシャツが被せられた。
このにおい……大きさ……
「あ、ごめん、咄嗟にオレの持って来ちゃった」
「ありがとう、借りるね。えへへ、一緒にいるみたいで、嬉しい」
くいっと引っ張られて、また涼太の腕の中だった。
ドキドキが、止まらない。
「……また、ひとりにしちゃうっスけど」
「……大丈夫……午後の授業、始まっちゃうよ。本当にありがとう。部活も、頑張ってね」
制服のシャツから、汗のにおい。
急いで走って来てくれたのがわかる。
離れたくない。でも、我慢。
夜になれば会えるんだし。
早く、風邪を治さなきゃ……。
「はー……離れたくないっス」
声の甘さが、ベッドの中にいる時と同じだ。
涼太も、同じ気持ちでいてくれているんだろうか。