第39章 独占欲と
「そんな可愛い抵抗、煽るだけっスよ」
ばたばたばたと子どものように腕を回し振り切ろうとしても、肩口から押さえつけられてしまい、身動きが取れない。
「やあ、ばかっ、ばかあ!」
塞ぐように唇が重なる。
「……っ、ふ……!」
乱暴に口内を刺激し、暴れる舌に抵抗などできる筈もなく。
「みわっち、ひとりですんのは恥ずかしいことじゃないスよ」
「はぁ、あっ……恥ずかしい、よ……」
「どうして? 自分の身体なんだから、自分で気持ちイイトコ知っておくのも大切っしょ。……まあ、みわっちのイイトコはオレがちゃんとわかってるからいいっスけど」
「……そうなのかもしれないけど……」
「しかもオレの事考えてシてくれるなんて、最高。でも、オレがいる時はちゃんと誘って?」
「……だっ、だって」
う、言いにくい。
「ん?」
「……どうやって、誘ったらいいのか……わからないし……疲れて、寝てるんだし……」
ああ、きっともうずっと顔が真っ赤だ。
涼太はずーっとニコニコしている。
「オレと初めて寝た時の感じで十分スよ」
「……え……緊張して、なんて言ったかなんて覚えてないよ」
おまけに、「オレと寝た」とか言わないで、なんかめちゃめちゃ恥ずかしい。
いや、そうなんだけど、そうなんだけど!
もう完全にパニックだ。
「……マジっスか?」
「私、なんて言ったんだっけ……」
初めての時。
いっぱいいっぱいで、本当に頭が真っ白になっちゃってた。
「オレの心の奥に大事にしまっておくっス」
「なにそれ……」
「……で? イヤ? やめる?」
「き、黄瀬くんは、時々すごく意地悪」
分かってるくせに。
私が、今どんな状況か。
「いやオレほんと鈍感で。言ってくんなきゃ分かんないっスよ? ね?」
アツイ。
身体がアツイよ。
耳元で、小さな声で気持ちを伝える。
「……やめないで……もっと……して……」
これが、今言える精一杯。
その一言で涼太に火がついた。
目の色が変わり、興奮しているのが分かる。
涼太は、昨日ゆっくり出来なかった分を取り返すと言って、言葉通り頭の天辺から脚の先まで舐め回していく。
ひたすら気が遠くなるほど愛撫され、部屋中に私の喘ぎ声が響くなか、ふたりの濃い夜は過ぎて行った。