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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第6章 日常の変化


「……あの、私に何か用だったの?」

「あー、静かな所ないかなって探してたんス」

黄瀬くんは、少し目を泳がせている。
そっか、1人になりたいこともあるよね。
あんなにいつも人だかりだと……。

「みわっち、 昨日ほんとにありがとね」

「気にしないで。今日からまたバスケ、頑張ってね」

私なんか、大したことしてないんだから。

「……みわっち、昨日の話、覚えてる?」

「マネージャーの話?」

「違うっスよ……オレと付き合うかって話」

「またまたあ、冗談でしょう。ファンの子に刺されちゃうよ」

「冗談じゃないんスけど」

「大体、付き合ってって、好きな子に言うものだよ。漫画やドラマじゃないんだし……カモフラージュで彼女が必要なの?」

「そうじゃないっスよ!」

「ご、ごめんなさい……」

声を荒げた黄瀬くんは初めてで、驚いた。

「ごめん……大きな声出して。オレ、みわっちと一緒に居たかっただけだから」

「……ごめんなさい。私、男の子と付き合う資格、ないから……」

「昨日も言ってたけど、どうして? 付き合うのになんで資格なんているんスか?」

「……」

「オレ、バスケばっかになっちゃうかもだけど、そうじゃない時間、共有したいなって……」

遮るように鳴り響くチャイムの音。

「いけね、予鈴っスね。いこっか。ごめん、しつこくて」

私だって、黄瀬くんと一緒にいたら楽しいかも、って思う。
もしかしたら、男の人が怖いのも治るんじゃないかって……。

でも、だめなんだもん。
こんな私じゃ……。

でも、いつまでこのまま?
いつまで諦め続ければいいの?
変えたい。自分を変えたい。

変えたい。

「……う……」

「えっ? みわっち、なんスか?」

変えたい……!

「わ、私、つ、つきあう……!」

自分の口から、ビックリする単語が飛び出した。

黄瀬くんも驚いた顔してる。
そりゃそうだよね。さっきまで、あんなこと言ってたのに。

「……ホントに?」

「ほ、んとうに。よ、よろしくお願いします」

「マジっスか、やった! こちらこそ、よろしくっス!」

握手する。
大きくて、温かい手だった。

……付き合うって、こんな始まりでいいの……?

経験がないから、全く分からない。
これで、良かったの、かしら……?

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