第39章 本音
ふたりが付き合ってないなんてことは、黄瀬くんの目を見て話せば、それが本当だってことが分かる。
分かってる。
それを疑っているわけじゃないの。
そうじゃなくて、そうじゃなくて。
黄瀬くんが、他の女性に触れたその事自体が許せなくて。
そう、これは嫉妬だ。
ただ、嫉妬していただけ。
「黄瀬くんの手が、指が、唇が、他のひとに触れたと思うだけで、黄瀬くんが他のひとを抱いたって思うだけで息が苦しくなって、目の前が真っ暗になって、死ぬかとおもっ……」
「みわ」
ベッドから降りた黄瀬くんに、優しく抱き締められた。
「みわ、ごめん」
大きな手が後頭部を支え、優しい指が髪を梳く。
「ごめん」
甘く響く優しい声が引き金になって、私はみっともなく大泣きした。