第39章 本音
仲直り。
良かった。これでいつも通りだ。
私の醜いところも、見せなくて済む。
寝る支度をして、黄瀬くんの部屋のドアノブに手をかける。
たった数日ぶりなのに、緊張した。
部屋に入ると、黄瀬くんは、ベッドの上に座っていた。
「……寝てて良かったのに」
「ごめんっ! みわっち!!」
黄瀬くんが深々と頭を下げた。
ドアの前に立ち尽くす私。
「……え……」
「どんな話の流れだって、あきサンと誤解されるようなことをしたのは事実だし、ごめん。みわっちを傷つけて、本当にごめん!!」
……やめて
「……も、もう、きにしてないから……私も、ごめんなさい……」
やめて……
「みわっち、どんな気持ちだった? ねえ、教えて? オレ、みわっちのこと全然考えてなくて、ホントに」
「やめてよ!」
「……みわっち?」
「やめて。謝らないで。悪いのは黄瀬くんじゃない」
「ううん、悪いのはオレっス。みわっち、ごめん」
言いたくない。
見せたくない。
こんな私。
「ねえ、みわっち……嫌だった? オレが、隠れてあきサンと付き合ってると思った……?」
言いたくない、のに。
「……思ったよ」
「オレ、好きなのはみわっちだけだから。付き合ってなんかないから。絶対に」
もやもやしたものが込み上げてくる。
ぶつけちゃだめ。こんな自分勝手な気持ち。
「それはもう……ちゃんと、分かってる」
黄瀬くんの言葉、信じてるから。
「ホントに、みわっちだけだから!」
だから、これ以上は言ってはいけない。
「じゃあどうして……」
だめ、なのに止まらない。
「わ、私だけが好きなら……っ! 何があっても、どんな事があっても、冗談でも、私以外の子に……さわらないで」
言ってしまう。言葉が、勝手にこぼれる。
「こ、こんなの、ただの嫉妬だって分かってる。私、あきみたいに美人じゃないし、そういう話できないし、積極的になれないし、満足させてあげられない……っ!」
涙が出てくるのがわかる。
止められない。ずっと我慢できてたのに。