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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第38章 嫉妬と喧嘩


「……ご馳走さまでした」

「お粗末さまでした」

カチャカチャと皿を鳴らしながらキッチンへ向かうと、みわっちが皿を洗おうとする。

「おっ、オレ、やるから……!」

少し驚いたような顔をしたみわっちは、ありがとう。じゃあ、お願いします。とだけ言って、シンクの後ろにある棚から、お茶を出そうとしている。

みわっちが入れてくれる食後のお茶。
オレ、実家でも緑茶って殆ど飲まなかったから、最初はすごく新鮮で。

彼女が入れてくれるお茶が好きだ。

元通りに、なれるのかな。
それともみわっちは、最後の晩餐のつもりなのかな。

水音と皿が重なり合う音だけが響く。
会話は、ない。

今まで通りに戻りたい。
どうしたらいいんだ。

皿洗いが終わると、みわっちもお茶を持ってソファに移動しているところだった。

「みわっちお茶、ありがと」

「……ん……」

今度は、お茶を啜る音だけが響いた。

「あ、あの、みわっち」

勢いに任せるしかないか。
このまま考えていても、上手く話せる自信が全くない。

「ごめん、オレ……」

「……もう、やめない?」





え?





みわっち、なんて?

「みわっち、やめるって、何を……」

「……喧嘩。もう、仲直りしよう?」

良かった……別れ話じゃなかった……

「うん、オレ、オレももう、嫌だ。いつも通りに、戻りたいっス」

「うん、仲直りね」

みわっちはにっこりと笑って、リビングを出て行った。

仲直り……できたんだよ、な?

……でも、なんか違う。
そうじゃない。

結局、彼女の気持ちは聞けてないし、 オレもちゃんと謝れていない。

みわっちを追いかけると、彼女は洗面所で歯磨きをしていた。

オレも、並んで磨き始める。
今まで通り、2人の時間。

……でもやっぱり違う。
あの時2人の間に出来た溝は埋まっていない。

セックスすれば埋まるのか?
そうじゃない、もっともっと、お互いが心をぶつけ合わなきゃ。

洗面所を出て行こうとするみわっちに慌てて声を掛ける。

「みわっち、今日はどこで寝るの」

「……お邪魔する、よ」

一見、いつも通りの笑顔でそう答えた。



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