第38章 嫉妬と喧嘩
「なーんかさ、あいつ、自分が気持ち良くなりたいからってだけでヤッてるみたいな感じがして、すごく嫌だったんだよね」
いつも凄く強気なあきサンが、初めて女のコの顔を見せた。
……本当に、好きなんスねえ。
その顔を見ていると、無性にみわっちに会いたくなった。
「まあ、あきサンの彼氏も、彼女を気持ち良くさせたくて必死なんじゃないスか。本当に好きな子抱いてると、夢中になって余裕なくなっちゃうんスよ」
「……あんたは余裕そうじゃん」
「オレ? ゼンゼン。超必死。どこが気持ちいいかとか、でも反応見てると夢中になって出そうになるから耐えて、ってオトコって見た目より結構必死っスわ」
「……そう、百戦錬磨のあんたがそうなんだからあいつもそうなのかな……」
「……言っとくけど、オレ全然経験ないっスからね!?」
「……ホントかよ。怪しいもんだわね。まあそれはいいけどさ。……ありがとね。夜、謝ってみる」
「そうっスね。仲良しが一番」
……あ、オレ寝ちゃってたのか……。
イライラが、おさまってる。
バカ。
オレ、ホント大バカだ。
なんであんな事言ったんだよ。
みわっちのあの傷ついた顔。
今頃、きっとまた泣いている。
さっきまでだって、きっと物凄く泣いていたんだろう。あんな顔、見た事ない。
オレとあきサンがヤッてるとこ見ちゃったって思ってるんスよね……。
今、みわっちはどんな気持ちで。
悲しませたくないって、あれだけ言っておいて軽率な行動で泣かせたのは、オレだ。
どうしたらいい?
今まで、女のコ達とは面倒を避けてきたから喧嘩をしたことがない。
正確に言うと、喧嘩して面倒になったら、すぐ別れてしまっていただけだけど。
オレは、仲直りの仕方が分からない。