第38章 嫉妬と喧嘩
……みわっちだって、アンタだって、何言ったって全然聞く耳もたねーじゃねぇスか。
オレ、そんな悪い事したっスか?
向こうが聞く気ないんじゃ、話なんかできないっスよ!
ああ、イライラする。
ピンポーン♪
……誰だよ。
うるせーな。
そんな気分じゃない。出ない。
ドアが微かに開く音がした。
みわっち?
そうだ、オレの粘着質なファンがまた来るかもって、インターホンには自分が出るって言ってたっけ。
……何もこんな、ケンカ中まで律儀に出なくてもいいんじゃないスか。
玄関のドアが開く気配。
すぐに閉じたところを見ると、宅配便か。
オレの部屋の外で、何かを置いた音がする。
扉がノックされることはなく、みわっちの部屋のドアが閉まる音が再び響いた。
なんだ?
部屋のドアを開けてみると、小さい段ボールが置かれていた。
……あ、これ……こないだ買った、コンドーム。
……買う必要、なかったっスかね。
とても開ける気にはならず、そのまま廊下へ放置した。
ああ、イライラする。ムシャクシャする。
そんなつもり、なかったんだ。
あの時、オレたちは。
「あきサン、元気ないスね」
「え、分かる? やだな。気にしないようにしてたんだけど。昨日ちょっとケンカして」
「彼氏サンっスか? 珍しいっスね」
「……痛いっつってんのに奥ばっか突いてくるから結構ヒドイ事言っちゃった」
「そうなんスか……やっぱ女のコって、奥突くと痛いんスか」
「いや、角度にもよるんじゃない?」
「そうなんスか? みわっちも、痛いの我慢させてんのかな……ヒトゴトじゃねっスわ」
あきさんがいきなりオレに跨り始める。この人はいつも、もう。
「ちょっと失礼。例えば対面座位だと、こっちの角度って結構痛いよ」
「え、じゃあこう振ればいいってことスか?」
「そう。じゃないと、内臓飛び出しそうな感じになる。あんたのデカいなら、尚更」
「うぇ、内臓……マジっスか……みわっち、言ってくれないからわかんねっスわ」
「あの子は……言えないだろうね。あ、こんなのみわに見られたらマズイわ。ゴメンゴメン」
「アンタホント、突然っスよね……」
「悪かったわね」