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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第38章 嫉妬と喧嘩


抱き合ってた……って、昼休みの、見られてたんスか!?

「みわっち、そ、それ誤解っス! ねえ! 出てきて話聞いて!」

最悪だ。まさかあれを見られるなんて。
みわっちがそんな早く屋上まで来てたなんて思いもしなかった。

「ずっと……私としてなかったのは……そういうことだったんでしょ……?」

「あああ、違うんス、違うんスよ、お願いだからオレの話を聞いてよ」

部屋のドアが静かに開く。
良かった。話を聞いてくれるくらいの余裕はあるみたいだ。

……でも、出てきたみわっちの顔を見てオレは一瞬声を出せなかった。

ボロボロだった。
憔悴しきった目。血の気のない顔色。

「みわっち」

「……なにがちがうの……?」

「違うんス、浮気してたとかそーゆーんじゃなくって……!」

「……ふたりとも、本気だったってこと……?」

なんか変な方向に話がいってる。
そうじゃないんスよ……!

「違うって! オレたちはそんなんじゃないんスよ!」

「……そんなんじゃないふたりが、抱き合って、そういうことする? ねえ、なにが……違うの?」

一番最悪なところをピンポイントで見られていたらしい。

「だから! それは、あきサンとそーゆー話してて、ちょっと実際どーなのかとか、そんなこと話してる内にうっかりヒートアップして……ふたりとも熱くなりすぎてて」

ああ、うまく説明できない。
オレたち、そんなつもり全然なかったんス……!

「そーゆー話って、なに? 黄瀬くんって、彼女でもない子と
そんな事、話すの……?」

「いや、彼女でもなんでもないっスけど、みわっちの大事な友達だから信用してて」

「分かんないよ、大事な友達となら話すの? なんで私には言ってくれないの?」

……ああもう……なんで分かってくんないんスか……!





「……"私には言ってくれない"って、みわっちなんか恥ずかしがって、普段からロクにそんな事話せないじゃないっスか!」





あ……
しまった……
ついカッとなって……

みわっちは、目を見開いた後に物凄く悲しそうな顔をして、部屋に戻っていった。

低く響く鍵の音が、オレたちの間の溝を表しているかのようだった。



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