第38章 嫉妬と喧嘩
私は、大好きなふたりをよく知っている。
最近は、言い合いながらもお互いを認めているような発言があった。
ふたりが仲良くなったことが本当に嬉しかったのに。
でも、ふたりは私に秘密でこそこそとするような人間じゃない。
もしかして、今日私に打ち明けるつもりだったのかな。
あの姿が忘れられない。
ふたりとも制服を着ていたけど、頭の中で再生される映像の彼らは、全裸だった。
黄瀬くんが私にしてくれる愛撫を、あきにしている。
いつも私の中に受け入れている黄瀬くんのモノが、あきの中へ入っていく。
私の頭の中にはそんなものしかないのか。
そんな想像しかできなかった。
そんなわけ、ない。
そんなことするわけ、ない。
ない、のに。
じゃあ、あれはなに?
ふざけてあんなことする?
そんなひとたちじゃない。
ふたりを信頼してるからこそ、そんなこと有り得ない。
体育館の中には、誰もいなかった。
ここに来たら気持ちが落ち着くだろうと、足が勝手に向かってしまったのか。
上履きを脱いで床の感覚を感じると、勝手に涙が溢れてきた。
「ひっ……ひっく……」
胸が潰れそう。
また、呼吸が苦しくなってきた。
息が、できない。
苦しい。
苦しい……
死んじゃう……
「ハアッ! ……ハアッ!!」
苦しい、だれか、たすけて。
誰かって……だれ……
私には、もう誰もいないのかも……
これから、ひとりで……。
頭がくらくら、してきた
息が
できない
指がしびれて
きた
意識が、暗い沼の中へ
引き摺り込まれていく感じ……。
「神崎……神崎!?」
「おい、神崎」
「みわっち!」
「みわ!」
私を呼ぶ声がする。
息は、……もう苦しくない。
「神崎、どうした、大丈夫か?」
……えっと……
この顔は……
「小堀、せんぱい……森山……せんぱ……い……?」
「体育館で倒れてるから、ビックリした。気分は?」
「……だいじょうぶ、です……ちょっと、息苦しくなって」
「みわっち!」
「みわ!」
「きせ……くん……あき」
ふたりが。
「……も、大丈夫だから出てって」
「みわっち?」
「出てって!」