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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第37章 話題


誰かが鳴らしたインターホンの音で一時中断されるかと思ったのに、黄瀬くんの指は止まらない。

久しぶりの感覚に、身体がアツくなる。

「ねえ、……っ誰か来たよ……っ!」

「ん〜? そうっスか?」

「……だめだってば! ちょっとまって! また、先輩方かもしれないし……!」

なんとか振り払って、慌ててインターホンの場所まで逃げる。
先輩方だったらどうするの!

……っていうのは正直、言い訳で……。
最近ずっと……なかったのに、あんなに明るい所でされるのは恥ずかしすぎて。

落ち着かない気持ちでインターホンを見ると、画面の向こう側には、爽やかな笑顔のスーツ姿の女性だった。セールスかな?

「はい?」

応答すると、ちょうど黄瀬くんも来た。
画面を見た途端、表情が固まるのが分かる。

……知り合い?

『……そちら、黄瀬さんのお宅ですか?』

なんだろう。
すごく、嫌な感じがする。

女性は笑顔で、特に怪しいところもない。
でも、分からないけどなんか嫌な感じ。
胸の奥がざわざわする。



「……いえ、違いますが」



咄嗟に、そう答えていた。

『あ、間違えました。失礼しました。』

プツンと画面が切れる。

「……みわっち、今の人知ってるの?」

黄瀬くんが不思議そうに覗き込んでくる。

……勝手に応答しちゃったけど、本当に黄瀬くんのお客さんだったらどうしよう。
考えもしなかった。

「ごめんなさい! なんか嫌な感じがして咄嗟に返事しちゃった…! 黄瀬くん、知ってる人だった…!?」

「……みわっちって凄いんスね、女の勘? あれ、オレの粘着質なファンっスわ……」

「エッ」

ファン? ファンの子がなんでこんなこと?

「マンション特定したとか言って喜ぶタイプなんスかね……うちは別に高級マンションじゃないから、入り口に受付もいないし……厄介っスね」

「なんか、怖いね……」

「あー、実家の時は時々あったっスね、家の前で待たれるのとか。何が嬉しいんだか全然分かんないスけど」

こんなところまで追ってくるなんて。
背筋を寒いものが走った。


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