第36章 隣の芝生は青いのか
結局、あきは
「とにかく黄瀬に相談しな。当人同士で話すのが一番。どんだけひとりで考えたって、ロクなことになんないんだからやめな」
の一点張りで、取り合ってくれなかった。
「あんた達には信頼関係があるんだから、それを信じて相談しなよ」
って……でもさでもさ、なんでもかんでも言えばいいってもんじゃ……なくない?
信頼関係って、うまくいってるから成り立ってるだけの気がするし……。
私、マグロ? って聞けばいいの?
喘ぎ声うるさい? って聞くの?
ない! 出来るわけない!
それに、本人の口からそう思ってたって言われちゃったら、多分私立ち直れない。
でも、私がえっちをする前にちゃんと勉強してなかったのがいけないんだ。
恐る恐る喘ぎ声をネット検索すると、男が引くNG喘ぎ声みたいな結果が出てきてページを開く勇気を持てず、ブラウザを閉じた。
まずはやってみて、黄瀬くんの反応を見るのが一番いいのかな……?
喜んでくれたら、それが一番だし。
うん、それだ。
それでいこう。
今夜は、あきもいないしまた、同じベッドで眠る。
今日は、なんとなくお誘いされそうな空気……。
そんな事を考えていたら、黄瀬くんと、布団の中で目が合う。
目を逸らせずにいると、あっという間にふたりの距離が縮まって、唇が重なった。
「ンッ……」
この間のただイチャイチャするのとは違う。
キスが、指がアツイ。
キスだけで、力が抜けてしまう。
身体中をまさぐる指に、つい声をあげてしまいそうになる。
我慢、我慢しなきゃ。
まずは、みっともない喘ぎ声をなんとかしなきゃ……!
「みわっち……しよっか」
その目から迸る色気に、逆らえるわけない。
私は、頷いた。