第36章 隣の芝生は青いのか
「そ、そう言わないでよ……連続でいきすぎると、立てなくなっちゃうし……もうわけわかんなくなっちゃうしで、困ってるんだよう……」
とりあえず、まずは声を抑えたい。
今までの自分、滅茶苦茶恥ずかしい。
黄瀬くんもいつも、思ってたのかな……優しいひとだから、私が傷つくと思って言えなかったんだろうな……。
今までの自分を思い浮かべて、悶絶しそうなほど恥ずかしくなる。
穴があったら入りたい……。
「はあ、そういうもんか。そうだなあ。こればっかりは体質だからね……で、辛くなったら黄瀬に言って止めて貰ってんの?」
「ううん……ドンドンいかされちゃうから……言えなくて……」
「テメエェエ黄瀬エェエェ!」
あきが血相を変えて凄い勢いで飛び出していった。
その速さに、唖然としてしまう。
「ちょ、ちょっと、あき!」
あきが黄瀬くんの部屋に乗り込む。
予想外! こんな事で悩んでるなんて
絶対知られたくないよ!
「うぇ、あきサンどうしたんスか!?」
黄瀬くんはベッドの上でストレッチをしていた。
「てめーフェミニストですみたいな顔してみわの嫌がる事してんじゃねーぞ!」
「ちょっとあき、やめてー!」
「なに?! なんスか!?」
「みわがイキすぎでツライって言ってんの!」
「え、あ……ごめん」
「もう、あき! 黄瀬くんも真顔で答えないで! お願いだから!」
「あんた、嫌がってるのも分かんないわけ!? もーそんなんだったら、みわとはあたしがヤるから!」
「何言ってんスか! みわっちを気持ちよく出来んのは、
オレだけっス!」
「ふん、女同士の方が勝手がわかるわよ!」
「ちょっとふたりとも、お願いですから落ち着いて」
もう、相談どころではない。
あきを焦って連れ戻し、部屋の鍵を閉めた。
「も、もーあき! 黄瀬くんに言わないでよー!」
「なんでよ。言わなきゃ解決しないでしょうが」
うっ。
「それは凄く正しいと思うんだけど、まだ言うタイミングじゃないというか……恥ずかしいというか……」
「恥ずかしいって、もっと恥ずかしい事山ほどしてんでしょうが」
……そうなんだけど〜……!