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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第35章 こんな日常


「みわっちって……毎日勉強してすげーっスよね……」

食後はいつも、勉強の時間にしている。
部屋よりも、リビングでする方が好きだ。

「そう? この時間にやらないとすーぐ眠くなっちゃって」

「オレ……テスト3日前とかに焦り始めるから手遅れになるんスかね」

「そうだね……根本はスポーツと変わらないと思うんだ。試合の3日前にいきなり練習始めても、勝てないでしょう?」

「……そう言われると……そうっスね。ん、オレも、この時間一緒に勉強するっス」

こうして、食後の少しの時間は毎日ぷち勉強会が行われることになった。

ダラダラはやらない。
時間を決めて、集中してやる。

「よし、今日はここまで」

「……疲れたっス……」

黄瀬くんはグッタリと机の上に突っ伏した。

「ふふ、お疲れさま。黄瀬くん、先にお風呂入って来ていいよ?」

「みわっち、先に入りなよ」

「私ちょっと片付けてからにするから、お先にどうぞ」

「そっスか? じゃあ、お言葉に甘えて」

黄瀬くんがリビングから出て行くと、しばしの間沈黙が訪れる。

お皿を洗いながら、不思議な感覚にとらわれていた。

ひとりで暮らしている時には、こんな事になるなんて考えつきもしなかった。

……自分に大切な人が出来るなんて。

それはとてもとても胸を温かくする感覚だった。

誰とも距離を置いて、自分すら信じられなくて真っ暗だった日々。

キラキラ輝いている黄瀬くん。
力強く引っ張ってくれるあき。

大好き。

「みわっち、お風呂アリガト。みわっちも入んなよ」

黄瀬くんがリビングに戻ってくる。

「あ、うん入らせて貰うね……ってええ!?」

上半身裸のままの黄瀬くんに驚き、つい大きな声を出してしまった。

「ん? どしたんスか?」

「ちょっと、服、服」

「ああ、暑くてつい……にしたってそんな驚かなくても、普段、全部見てるじゃないっスか」

ぜ、全部って……
確かに、そうだけど……

でも、えっちの時はゆっくり裸見てる余裕なんてないもん……。

って、違う! そうじゃない!

「お、お風呂はいってくる……!」

「ハイハイ行ってらっしゃい」

クスクスと笑う黄瀬くんを背に、逃げるようにリビングを飛び出した。


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