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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第34章 対峙


その後、ヤツの自宅から薬物も発見され、取調べにはまだまだ時間がかかりそうだった。

私はストーカー事件が落ち着いて、事件後初めて自宅に戻った。

今月で、ここはもう引き払う。
不要な家具を粗大ゴミに出すため、足を踏み入れた。

残りの荷物をカバンに詰め、掃除をし、家を出る。

「みわっち、あの部屋、ラグ買わない? 下、座ったらイタイっスよね?」

「そうだね……小さいテーブルとラグ、いや、座布団でもいいんだけど……」

「座布団って……ま、ちょっと見に行ってみるっスか? 種類もいっぱいあるから迷うだろうし」

「あの、安いとこでいいよ。駅前のあのお店」

「みわっちって、ホント欲がないっつーか……欲しいモンとか、ないんスか?」

そう言われて即座に頭に浮かんだもの。

「……ないよ……」

焦って、頭の中から打ち消す。

「なんか欲しいモンできたら、すぐ言ってね? オレ、なんでも買ってあげるっスよ!」

……欲しいものは……
お金で買えないものだよ。

学校や周りには秘密だけど、おばあちゃんにも相談して、ふたり暮らしを継続することにした。

家賃がかからないこと、生活費が半分で済むこと、が魅力的だったからだ。

……というのは建前で……黄瀬くんと一緒に過ごし、眠る事に慣れすぎてしまった。

それは良くない事なのかもしれないけれど、私の生活の中でとても大切な時間だった。

簡単に手放すことなど、出来ないくらいに。



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