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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第34章 対峙


「っく……!」

間一髪のところで、オレはヤツの腕を掴んでいた。

刃先は目前まで迫っている。
少しでも力を緩めれば、終わりだ。

「黄瀬くん! 黄瀬くん! 逃げて!」

「……ッラァ!!」

腕力はオレの方が上だ。
遠心力を利用して、相手の身体ごと横投げにした。

ヤツが吹っ飛ぶ。

「ぐぎゃっ!」

据え置きの椅子に突っ込み、苦しげな呻き声を上げている間にオレは立ち上がり、体勢を整える。

かなりの衝撃でぶつかったはずなのに、全く何事もなかったように起き上がり、またこちらへ迫ってきた。

なぜ、なぜ倒れないんだ。
化け物か。

「ひっひ、ひへへ、かっこいいねえかれしさま、ぼくは、おまえが! いちばん! きにいらねえんだよおおおお!」

薄気味悪い笑みを浮かべながら再び突進してくる。

その異様な殺気に一瞬オレも足が強張るが、ヤツの動き自体はのろい。
先ほどの衝撃は、ヤツの身体には間違いなくダメージを与えている。

進路を見極めて横に避け、ナイフを握った腕を掴んだ。

全体重をかけて腕ごと捻る。

「いで、いでえ、はなせ、はなせおまえ、ぼくをだれだと、いてえ!」

しかし、相手も大の大人だ。
暴れるヤツを押さえ込むので精一杯。

状況は全く良くなっていない。
オレのこの力も、永遠に出し続けられるわけじゃない。

この緊迫感の中で体力はどんどん消耗し、腕の力が抜けていくのがわかる。

クソッ……!



「そこまでだ!」

「!?」

顔を上げると、ヤツの背後にガタイのいいスーツ姿の男性が2人、立っている。

「そいつ! そいつです!」

みわっちが叫ぶ。
彼等はは手早くヤツを拘束した。

「おまえら、なんだ、だれだ、ああん?」

「住居侵入罪から始まってストーカー、婦女暴行、銃刀法違反となると、今夜は忙しくなりそうだなァ?」

「君が黄瀬くんだね。俺たちはこういう者だ」

2人が取り出したのは警察手帳だった。

「へ……」

「犯人確保にご協力ありがとう」

え?
みわっちが2人に駆け寄る。
何かを話して、頭を下げた。

「みわちゃん、また連絡する」

「ありがとう……ありがとうございます……!」

警察?

痛いほどの緊張感から突然解放されて、オレの頭の中は全くまとまらなかった。

何が、起きたんだ?




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