第5章 ふたりきり
「みわっち……オレと……つきあう、っスか……?」
しつこい、か。
自分でも、なんでこんなにこだわってんのか……。
でも、オレマジで……。
「もー……まだ言ってる…無理しないでって、言ってるでしょう……風邪治ったら、話そう?」
「だって……ゲホゲホッ! ぅ……ゴホッ……オレ……」
思わず飛び起きて咳き込むオレの背中を優しくさすってくれる彼女。
「大丈夫? お水飲んで……咳出るようになると苦しくて、なかなか寝付けなくなっちゃうから、今は横になって」
「うつっちゃったら、どうしよ……ごめん……ゲホ」
大切なコトを忘れてた。
みわっちにも黒子っちにもうつしてしまったらヤバい。
もしそうなったら、ちょっと調子良くなったからと言って、ふたりを家に呼んだオレが悪い。
「いいよ、むしろうつして。私、風邪には強いし、代わりに治してあげるから!」
この子は、本当は強くて明るい子なんだと思う。
この笑顔、元気を貰えるんだ。
でも……過去の事がきっかけで、自分を中に中にと閉じ込めてしまってるんだろう。
そんな、不安定さを感じる。
「みわっちは……内気で大人しいかと思ったら、突然男前なこと言ったりするっスよね」
「そ……そうかな?」
あと、みわっちの声、好き。
ちょっと低めの、落ち着いた声。
するっと耳から入って馴染んでくる。
みわっち、みわっちと、オレの心の中がいつのまにか、彼女ばっかりになっている。
みわっちが、弱くて、でもすごく強くて、優しくて、可愛くて、オレの心を揺さぶる。
もう、目が回りそうっスわ……
結局、再び眠りついたのは何時だったんだろう。
自分も疲れて眠いだろうに、ずっと横にいてくれた彼女に見守られて朝まで眠ることができた。