第34章 対峙
「お前、みわの事、なんだと思ってんだ」
「いや、今流行りの清楚系女子でいいと思っているよ? 後ろの処女はぼくが奪っちゃったけど、前はまだ未使用だしね。結構高く売れると思うんだよねえ」
話が通じない。
こいつ、もう頭がおかしくなっているのか。
「不感症なのは……まあ、そういうのを虐めて楽しむマニアもいるから問題ないよ」
「聞いてねーよ」
「でもさ、そうすると色々面倒じゃない。ぼくだってみわちゃんの処女欲しいし。だから、みわちゃんはぼくがちゃんと面倒見るから、お金の面はお金を持ってるカレシにお願いしようかなって」
こいつの発言には、全く悪意がない。
今、自分のやろうとしていることがどんな事かの善悪の区別すらついていない。
こんなヤツに、何を言ったらいいんだ。
「何考えてんのか知らねーが、お前」
「いいねえ、その顔と身体があればどんなオンナも寄ってくるだろう? お金なんか無限だよ。うらやましいなあ。オンナを抱いて回れば、あっという間に金持ちだ」
もう、独り言のようだ。
元々オレと会話するつもりなんてないのか。
「みわちゃんの動画、最初はケチって安いカメラだったんだけどね、奮発していいのにしたんだ。色っぽい喘ぎ声に、感じてる顔まで見られて最高だろう?」
耳にこびりついている、喉が焼き切れるほどの悲鳴と、目に焼き付いている苦しそうな表情。
「今動画サイトってやつの勉強をしててね。是非あのかわいいぼくのみわちゃんを、全世界の人に見て貰おうと思ってさ」
やはり脅迫するつもりか。
他の人間だけではなく、彼女があれを観たらどうなってしまうのか。
「……それはやめてくれと言ったら?」
「だからね、誠意を見せて欲しいなあ。タイセツなカノジョを守るんでしょ? イケメンナイト様なら、どうとでもなるよね」
「……いくら必要だ」
金なんかないが、ここでそれを言っても解決するとは思えない。
「うーん、ぼくは結構節約家だからね、そんなに必要ないよ。とりあえずは、月何百万かずつ貰っておいて、増額についてはその内考えさせて貰おうかな」
こいつと話していると、こっちまで頭がおかしくなりそうだ。