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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第33章 天国と地獄


暗い部屋。

ガラス越しにみわっちと目が合う。
はにかんだように微笑んだ。
オレの好きな笑顔だ。

このガラス1枚が邪魔で、キス出来ない。
抱きしめられない。触れられない。

歯がゆく思っていると、みわっち側の部屋に男が入ってくる。

ヤツだった。

みわっちは怯え、逃げる。

ガラスはいくら叩いてもヒビひとつ入らない。
叩いている手が裂け、ガラスに血が飛び散る。

そのうち、みわっちがヤツに捕まり服を剥がされていく。

やめろ。やめろ。

なんとか振り払った彼女がオレのところまで駆け寄ってきて叫ぶ。

たすけて。たすけて。

オレは、何もしてあげられない。
助けてあげられない。

オレは、ガラスの向こう側でひたすら泣きながら犯され続けるみわっちを、眺めていることしか出来なかった。

彼女は目の前でどんどん壊れていく。
涙を流し、叫び、流血し、壊れてしまう。

ごめん。
ごめん。
ごめんみわっち。

「……黄瀬くん」

視界に、みわっちの心配そうな顔が入ってきた。

「みわっち……」

夢か。今の恐ろしい映像は。

「ごめんなさい、起こしちゃって。すごいうなされ方してたから」

顔が涙で濡れている。

「……ありがと。嫌な夢だったから助かったっス」

夢。
夢だったけど、夢じゃない。

助けてあげられなかった事は、真実だ。

起き上がって、みわっちを腕の中に閉じ込めた。

「……黄瀬くん……?」

みわっちの香りだ。

「ごめん……しばらく、こうしてて……」

オレは、オレは何やってんだ。
オレが弱ってるみわっちを助けんだろ。ひよってどーすんだよ。

みわっちはここにいる。
今ここにいるみわっちには、絶対に同じ思いはさせない。

「みわっち……今……何時?」

「……さっき眠ってから、1時間しか経ってないよ……まだ3時。寝なきゃ。練習、倒れちゃうよ」

みわっちの細い身体を抱きしめるのが好きだ。

みわっちの笑顔が見たい。
心配させたいんじゃない。

「みわっち……好き……」

明日から、また元に戻るっスから。
今だけ。
今だけ、許して欲しいっス……。


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